中国のサービス業の景気回復基調が続いている。9月5日に発表された8月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は55.0を記録し、好不況の目安である50を3カ月連続で大きく上回った。前月(55.5)との比較では0.5ポイント低下したものの、2022年6月以降の回復の勢いを総じて維持していると言えそうだ。
それとは対照的に、4日前の9月1日に発表された8月の財新中国製造業PMIは49.5と、前月(50.4)より0.9ポイント低下して目安の50を割り込んだ。7月に顕在化したサービス業と製造業の景況感の落差が、さらに拡大した格好だ。
サービス業の8月の事業活動は、需要側の回復に息切れの兆候が現れた。需要側の動向を示す新規受注指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを上回って推移したが、前月比では小幅に低下した。調査対象企業の一部からは、「新型コロナウイルスの流行の反復が事業の妨げになった」との声が寄せられた。
雇用好転の兆しはいまだ見えず
景気回復の持続にもかかわらず、サービス業の雇用状況にはいまだ好転の兆しが見えない。サービス業の8月の雇用指数はボーダーラインを8カ月連続で割り込んだ。調査対象企業の多くは、新型コロナ流行の影響で自己都合退職が増えていることや、後任者の採用に企業が慎重になっていることなどを、雇用縮小の背景として挙げている。
サービス業の仕入れ価格の指標である投入価格指数は、前月に続いて8月もボーダーラインを上回って推移した。賃金、原材料、マーケティングなどの費用が値上がりしており、サービス企業の負担が増している。
一方、サービス企業は過去に新型コロナの影響で生じた損失を挽回するため、販売促進に力を注がざるをえない。そのため(競争が激化し)、コストアップを販売価格に転嫁する余地が限られている。販売価格の指標であるサービス提供価格指数は、8月はボーダーラインを上回って推移したものの、過去4カ月間の最低値を記録した。
サービス企業の経営者は、景気回復の持続を背景に将来への自信を深めている。新型コロナの流行が完全に収束すれば、需要はさらに戻ってくるとの楽観的な見方が一般的だ。これを反映し、経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、8月は2021年12月以降の最高値に上昇した。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月5日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら