テレビ、パソコン、スマートフォンなどに組み込まれるディスプレーパネルの市場価格の下落が、パネルメーカーの業績を圧迫している。
中国のパネル最大手の京東方科技集団(BOE)が8月29日に発表した2022年1~6月期の半期決算では、売上高が916億1000万元(約1兆8378億円)と前年同期比15.7%減少。純利益は65億9600万元(約1323億円)と前年同期の半分近くに落ち込んだ。
「2022年上半期を通じて需要低迷が続いた。パネル業界の不景気はすでに1年近く続いており、わが社の業績もそのトレンドを反映した格好だ」。業績悪化の背景について、BOEの董事会秘書を務める劉洪峰氏は決算説明会でそう釈明した。
BOE以外のパネルメーカーも、同じく景気低迷のなかで苦戦している。BOEとともに中国本土の「パネル業界の双璧」と称されるTCL科技集団も、8月26日に1~6月期の半期決算を発表。売上高は845億2200万元(約1兆6956億円)と前年同期比13.6%増加したものの、純利益は6億6400万元(約133億円)と前年同期の10分の1に激減した。
(訳注:TLC科技集団はディスプレーパネルのほか、太陽光パネルや半導体材料の製造も手がける。上記の業績はそれらを合算したもの)
「コロナ特需」の揺り戻しの面も
ディスプレーパネルの市場価格の値下がりは、2021年7~9月期にまず(主にテレビ向けの)大型パネルから始まった。2022年5月には、テレビ向けを含む一部のパネルの価格が原価割れの水準まで下落。業界関係者によれば、(主にパソコン向けの)中型パネルの値下がりは大型パネルよりいくぶん小さいが、やはり原価割れに近づいているという。
「2021年からの価格下落のペースは、通常の価格変動の域をはるかに超えている」。BOEの董事長(会長に相当)を務める陳炎順氏は決算説明会でそう述べ、要因を次のように分析した。
「新型コロナウイルスの世界的大流行により、過去2年間は(リモートワークの普及など)巣ごもり消費による特需が生じた。それが一段落した今、パネルの販売量が大幅に縮小しているのは正常な揺り戻しとも言える」
さらに陳氏は、新型コロナの影響による生産活動や物流の混乱に加えて、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにグローバル経済の後退懸念が高まっていることも、パネル販売の不振に輪をかけていると説明した。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は8月30日
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