中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は10月21日、2022年7~9月期の決算報告を発表した。同四半期の売上高は前年同期の3.3倍の973億6900万元(約2兆99億円)、純利益は同2.9倍の94億元(約1940億円)を計上し、大幅な増収増益を達成した。
同社が翌22日に開示したアナリスト向け決算説明会の要約によれば、7~9月期の容量ベースの電池販売量は約90GWh(ギガワット時)に上った。分野別ではEV(電気自動車)向けの車載電池が約8割を占め、残りは(再生可能エネルギーなどの)蓄電装置向けだった。
韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、1月から8月までの世界の車載電池出荷量に占めるCATLのシェアは35.5%と、メーカー別の市場シェアで首位を独走している。
7~9月期の大幅な増収増益は、中国市場での「新エネルギー車」の販売急増に牽引された結果だ。中国汽車工業協会のデータによれば、1月から9月までの新エネルギー車の販売台数は456万7000台と、前年同期の2.1倍に増加した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
「インフレ抑制法の影響は限定的」
CATLは海外市場の開拓にも余念がない。ヨーロッパでは2022年8月、最大73億4000万ユーロ(約1兆754億円)を投じてハンガリーに工場を建設すると発表。ドイツのメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)などに車載電池を供給する計画で、完成時の年間生産能力は100GWhに達する見込みだ。
北アメリカでは工場建設の候補地としてアメリカ、カナダ、メキシコを検討していたが、事情に詳しい関係者によれば、最終的にメキシコに決定した模様だ。なお、アメリカのテスラとフォードはすでにCATL製の車載電池を採用している。
そんななか市場関係者が気を揉んでいるのが、アメリカのジョー・バイデン大統領が2022年8月16日に署名して成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)の影響だ。同法には、EVを購入するアメリカの消費者が1台当たり最大7500ドル(約108万円)の税額控除を受けられる優遇措置が盛り込まれている。
だが、この優遇措置を満額享受するためには、購入するEVは北アメリカで製造されたものでなければならない。さらに、車載電池の製造地や電池材料の調達源にも厳しい要件がついている。
「インフレ抑制法の具体的な運用については、詳細がまだはっきりしない。わが社は北アメリカの顧客と協力して対処法を検討しており、現時点では業務の発展に及ぼす影響は限定的と考えている」。7~9月期の決算説明会で、CATLはそのような見方を示した。
(財新記者:安利敏)
※原文の配信は10月22日
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