中国のリチウム製品の2大企業、贛鋒鋰業と天斉鋰業の業績が急拡大している。原動力はEV(電気自動車)の販売急増を背景にしたリチウム相場の高騰と、リチウム製品の販売量増加の相乗効果だ。
贛鋒鋰業が10月14日に発表した業績予想によれば、2022年1~9月期の純利益は143億~153億元(約2944億4600万~3150億3600万円)に達する見込み。これは前年同期の5.8~6.2倍に相当する。
リチウムはEVの動力源である車載電池の主要原材料だ。EVの販売急増に伴ってリチウム製品の需要が増え続け、リチウム相場は右肩上がりの高騰が続いている。さらに、贛鋒鋰業の新規事業であるリチウムイオン電池の自社生産が拡大し、業績を押し上げたと同社は説明する。
同じく10月14日、天斉鋰業も1~9月の業績予想を発表。同期間の純利益が152億~169億元(約3129億7700万~3479億8100万円)と、前年同期の28~32倍に増えるとの見通しを示した。
相場高騰の勢い止まらず
天斉鋰業は業績好調の理由として、EVの世界的な販売急増や、それに伴う電池メーカーの生産能力拡大とともに、正極材料の受注が増加。リチウム製品の販売量と販売価格を同時に押し上げたことを挙げた。
中国国内のリチウム相場は、いまも高騰の勢いが止まらない。市場調査会社の安泰科のデータによれば、7~9月期の電池向け炭酸リチウムの取引価格は1トン当たり平均48万3000元(約995万円)と、前年同期の4.3倍に上昇。なかでも9月単月の取引価格は、同50万元(約1030万円)の大台を初めて突破した。
背景にはEVメーカーが大量のバックオーダーを抱えていることに加えて、EV購入者への中国政府の補助金が2022年末に打ち切られるため、駆け込み需要の発生が見込まれることがある。
10月14日時点の電池向け炭酸リチウムの取引価格は1トン当たり53万1500元(約1094万円)に達し、年初からの上げ幅は83%に上っている。
(財新記者:廬羽桐)
※原文の配信は10月15日
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