中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)は、アルゼンチンのリチウム塩湖の開発プロジェクトに参画する。中国の「EV新興勢力」が(車載電池の原材料を確保するため)資源開発にまで踏み込むのは、同社が初めてだ。
オーストラリアの資源開発会社のグリーンウイング・リソーシズは9月25日、アルゼンチンのリチウム塩湖の開発プロジェクトを加速するため、同社と蔚来汽車が戦略的資本提携に合意したと発表した。グリーンウイングはアルゼンチンとマダガスカルの合計3カ所に、リチウム資源の開発権益を保有している。
同社によれば、蔚来汽車は全額出資子会社を通じて1200万オーストラリアドル(約11億2312万円)を出資し、グリーンウイングの発行済株式の12.16%を取得する。取引の完了後、蔚来汽車はグリーンウイングの取締役1名の選任権も獲得する。
なお、グリーンウイングは蔚来汽車からの出資金の少なくとも8割を、アルゼンチンのカタマルカ州にある「サン・ホルヘ塩湖」の開発プロジェクトに投じる計画だ。
車載電池に不可欠な原材料
サン・ホルヘ塩湖はまだ開発の初期段階にあり、鉱山施設の建設や製品出荷のスケジュールは明確になっていない。2021年末に完了した初歩的な現地調査では、塩湖のかん水のサンプルに含まれるリチウムは1リットル当たり285mg(ミリグラム)だった。グリーンウイングは10月までに(本格的な)ボーリング調査を開始し、2023年末までに鉱山の推定埋蔵量を公表するとしている。
リチウム資源が豊富なアルゼンチンでは、すでに複数の中国企業が資源開発プロジェクトに参入している。それらと比較すると、サン・ホルヘ塩湖の品位は決して高いとは言えない。例えば、国有鉱業大手の紫金鉱業が参画する「3Q塩湖」プロジェクトの含有量は1リットル当たり636mg、民営リチウム大手の贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)の「カウチャリ・オラロス塩湖」プロジェクトは同585mgとされる。
それでも蔚来汽車が投資に踏み切ったのは、リチウムが車載電池の製造に不可欠な原材料だからにほかならない。EV市場が業界の予想を超えるペースで急拡大するなか、リチウムの取引価格は右肩上がりに高騰している。
9月26日時点の中国国内のリチウム相場は1トン当たり51万1500元(約1028万円)をつけ、過去最高値を更新した。これは2022年初め時点の同29万元(約583万円)の1.8倍近い水準だ。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は9月26日
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