中国の車載電池大手の国軒高科(ゴーション・ハイテク)が、アメリカのミシガン州に23億6000万ドル(約3408億円)を投じて車載電池の正極および負極の材料工場を建設することがわかった。10月5日、ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事がその計画を明かした。
同州政府が公表した情報によれば、工場建設は段階的に進められ、最終的には年間15万トンの正極材料と同5万トンの負極材料の生産を目指す。国軒高科の投資を誘致するため、ミシガン州は約1億7500万ドル(約253億円)の補助金と税制上の優遇措置を提供する。
国軒高科は1998年に創業し、中国の安徽省合肥市に本社を置く。韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、国軒高科の2022年1~7月の車載電池出荷量は7GWh(ギガワット時)と、メーカー別の世界ランキングで第8位につけている。
バイデン政権のEVシフトに呼応
アメリカのバイデン政権は2021年8月、2030年の新車販売に占めるEV(電気自動車)の比率を50%以上に引き上げる計画を発表した。ミシガン州による国軒高科の誘致は、この連邦政府の政策に呼応したものだ。
同州は、フォードやゼネラルモーターズ(GM)が本社を置くアメリカ屈指の自動車産業の集積地である。連邦政府が掲げた急速なEVシフトに対応するには、車載電池の生産能力(を誘致して州内の産業と雇用を守ること)が極めて重要なのだ。
一方、国軒高科にとってミシガン州への進出は、バイデン大統領が2022年8月16日に署名して成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)の要件をクリアするための動きと言える。同法には、EVを購入するアメリカの消費者が1台当たり最大7500ドル(約108万円)の税額控除を受けられる優遇措置が盛り込まれた。
ただし、この優遇措置を満額享受するためには、購入するEVは北アメリカで製造されたものでなければならない。さらに、車載電池モジュールの製造地や電池材料の調達源にも厳しい要件がついている。
電池材料に関しては、調達源の40%以上をアメリカ国内またはアメリカと自由貿易協定を締結した国で採掘・加工されたものか、北アメリカでリサイクルされたものにしなければならない。この比率は2023年以降、毎年10ポイントずつ上乗せされ、最終的に80%まで引き上げられる。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は10月6日
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