韓国の車載電池大手のLGエナジーソリューションが、北アメリカでの原材料調達の強化に乗り出した。同社は9月23日、カナダの資源開発会社3社と調達契約を結んだと発表。同社が電池材料の供給源をカナダに求めたのは、これが初めてだ。
具体的には、カナダのエレクトラ・バッテリー・マテリアルズのコバルト製品を2023年から3年間で7000トン、アバロン・アドバンスト・マテリアルズのリチウム製品を2025年から年間1万1000トンずつ5年間、スノー・レイク・リソーシズのリチウム製品を同じく2025年から年間2万トンずつ10年間、それぞれ購入する。
LGエナジーソリューションの原材料の供給源は、これまでは相対的に分散していた。同社は2021年以降、ブラジル、スペイン、ドイツ、オーストラリアの資源開発会社とリチウム製品の調達契約を結んでいる。
そんななか、同社が北アメリカでの調達強化を打ち出した背景には、アメリカのジョー・バイデン大統領が2022年8月16日に署名して成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)の影響があると見られている。
事実上の「中国外し」の一面も
同法は、アメリカの消費者がEV(電気自動車)を購入する際に1台当たり最大7500ドル(約107万円)の税額控除を受けられる措置を(従来の歳出・歳入法から)引き継いだ。と同時に、この措置の適用条件として、車載電池の原材料の調達源および電池モジュールの製造地に関する新たな項目を追加した。
そこでは、アメリカで2023年末までに使用開始されたEVを対象に、車載電池の原材料の40%以上をアメリカ国内またはアメリカと自由貿易協定を締結した国で採掘・加工されたものか、北アメリカでリサイクルされたものにするよう求めている。この条件を満たせない場合、税額控除は3750ドル(約53万5000円)減額されてしまう。
しかも、適用条件の比率は毎年10ポイントずつ上乗せされ、最終的には2027年に80%まで引き上げられる。
この要求に対しては「厳し過ぎる」「現実離れしている」などの批判や困惑の声が、EVメーカーや電池メーカーから上がっている。
アメリカは目下20カ国と自由貿易協定を締結しており、電池材料の供給国としてはカナダ、オーストラリア、チリ、メキシコ、モロッコなどが含まれている。だが、車載電池の世界最大の製造拠点である中国は含まれていない。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は9月24日
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