中国の国有自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)は9月22日、国有エネルギー大手の中国石油化工集団(シノペック)および中国石油天然気(ペトロチャイナ)と共同で、ガソリンスタンドのネットワークを活用したEV(電気自動車)の電池交換ステーションを建設すると発表した。
電池交換ステーションの建設と運営は、9月21日に設立された新会社の捷能智電新能源科技が担う。同社の登録資本金は40億元(約808億円)で、筆頭株主の上汽集団が37.5%、シノペック傘下の販売会社が25%、中国の車載電池最大手の寧德時代新能源科技(CATL)が12.5%、ペトロチャイナが12.5%をそれぞれ出資している。
上汽集団は今後、傘下の複数のブランドから電池交換方式のEVを続々投入する。セダン、SUV、ミニバン、商用車など、あらゆる車種に広げていく計画だ。ただし現時点では、上汽集団と捷能智電新能源科技は電池交換ステーションの具体的な建設スケジュールを明らかにしていない。
EVの動力源の供給方法には、充電方式と電池交換方式の2種類がある。現在の主流は充電方式だが、充電に時間がかかるのが難点だ。
一方、電池交換方式のEVは、ドライバーが(充電の代わりに)クルマを電池交換ステーションに乗り入れ、電池を充電済みのものに取り替える。所要時間は数分ですみ、ガソリンスタンドでエンジン車に給油するのに近い感覚で利用できる。
統一規格の電池パックを採用
電池交換方式の難点は、電池パックの規格統一が難しいことや、電池交換ステーションの建設および維持管理に多大なコストがかかることだ。このためEV業界では、(充電時間を短縮できる)急速充電方式と電池交換方式の可能性を両睨みで模索しているのが実態だ。
「かつては電池交換方式はデメリットが大きいとみていた。EVの車体サイズは大小さまざまであり、統一規格の電池パックだけであらゆるニーズをカバーするのは困難だと考えていたからだ」
上汽集団の副総工程師を務める朱軍氏は、財新記者の取材に対してそう率直に語り、考えを変えた背景を次のように説明した。
「電池技術の進歩により、この問題を克服できるようになった。上汽集団の電池交換方式のEVは、今後はすべて『魔方電池』と呼ぶ(統一規格の)電池パックを採用する」
「魔方電池は縦横のサイズが決まっており、厚みは3種類ある。パックのなかに(三元系やリン酸鉄系など)複数の種類の電池セルを組み込むことで、航続距離(やコスト)の調整などさまざまなニーズに対応できる」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月23日
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