中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は8月12日、ハンガリーに最大73億4000万ユーロ(約1兆56億円)を投じて新工場を建設すると発表した。同国のデブレツェン市に広さ221ヘクタールの敷地を確保。5年4カ月の工期をかけて年間生産能力100GWh(ギガワット時)の巨大工場を作り上げる計画だ。
なお、新工場の着工はCATLの株主総会での承認と、中国およびハンガリーの両国政府からの認可取得が前提だ。それらをクリアしたうえで、同社は2022年末までに建設工事に着手したいとしている。
ハンガリーを建設地に選んだ理由について、CATLは「メルセデス・ベンツ、BMW、ステランティス、フォルクスワーゲンなどの顧客の完成車工場に近く、(現地で生産した)車載電池をすぐに届けられる」と説明する。なお、新工場の最初の大口供給先はメルセデス・ベンツになる見込みだ。
CATLはさらに、ハンガリーの協業先とともに電池材料の工場を建設する可能性も探っている。
中韓の電池メーカーが相次いで進出
ハンガリーの新工場は、ドイツに建設中の工場に続いてCATLがヨーロッパに建設する2番目の生産拠点だ。100GWhという計画生産能力は、2021年末時点の全社生産能力(約170GWh)の6割弱に相当する。
「このプロジェクトは、ハンガリーにとって史上最大のグリーンフィールド投資(訳注:何もないまっさらな状態から事業を立ち上げる投資)だ。わが国は車載電池の世界的な製造センターの1つになるだろう」。ハンガリー政府の外務貿易大臣を務めるシーヤールトー・ペーテル氏は、そう期待を寄せる。
CATLだけではない。韓国の電池大手のサムスンSDIはすでに2018年からハンガリーで電池を生産している。2021年には約8億5000万ドル(約1128億円)の追加投資を決め、工場の拡張に着手した。同じく韓国の電池大手のSKオンも、ハンガリーに進出して2020年に生産を始めた。
中国の電池業界でも、進出先にハンガリーを選ぶ企業が増えている。電池用の隔膜(セパレーター)を手がける恩捷新材料は2020年11月、ハンガリーのデブレツェン市に工場を建設すると発表した。
2022年3月には電池メーカーの億緯鋰能(EVEエナジー)が、同じくデブレツェン市に進出して円筒形電池を生産する計画を明らかにしている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月13日
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