中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は6月22日、総額450億元(約9131億円)の第三者割当増資を完了したと発表した。人民元建ての普通株式1億975万6100株を新規発行し、経費を差し引いたネットの資金調達額は448億7000万元(約9105億円)に上る。
CATLの情報開示によれば、同社は条件を満たす特定の投資家に対して第三者割当増資の申込書を送付し、6月15日の期限までに42組が引き受けに応募した。これらの投資家が提示した希望価格は、最低が1株当たり339.89元(約6897円)、最高が同462元(約9374円)で、引き受け希望額の合計は1700億元(約3兆4495億円)を超えた。
これを受けて、CATLは1株当たりの発行価格を410元(約8319円)に設定し、22組の投資家に割り当てた。同社は今回調達した資金の8割超の380億元(約7711億円)を生産能力の増強に、残る70億元(約1420億円)を先端技術の研究開発および応用に充てる計画だ。
当初計画は大きな議論呼ぶ
今回の巨額増資の実現までには紆余曲折があった。CATLは2021年8月、最大582億元(約1兆1809億円)の調達を目指す増資計画を発表。用途の内訳は生産能力増強のプロジェクト5件に419億元(約8502億円)、新技術の研究開発に70億元、運転資金の充実に93億元(約1887億円)というものだった。
ところが、この計画は市場関係者の間で大きな議論を呼んだ。そのためCATLは計画を見直し、同年11月に修正案を発表。運転資金の充実を取り下げるとともに、生産能力増強のプロジェクトを4件に減らし、資金調達額を最大450億元に引き下げた。
(訳注:増資計画見直しの詳細については『中国電池CATL「1兆円増資計画」を2割縮小の事情』を参照)
CATLの巨額増資が最終的に投資家の支持を獲得した背景には、世界の自動車産業で進むEV(電気自動車)シフトの加速がある。さらに、ここにきて(再生可能エネルギーの電力を一時的に貯める)蓄電設備向けの需要が急速に立ち上がってきたことも追い風になった。
中国政府直属の最高研究機関である中国科学院のメンバー(院士)で、清華大学教授の欧陽明高氏は、2030年には全世界の電池の総需要が約3000ギガワット時に達すると予想している。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月23日
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