中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は4月21日、2021年の通期決算報告を発表した。それによれば、売上高は前年の約2.6倍の1304億元(約2兆5954億円)、純利益は同約2.9倍の159億3000万元(約3171億円)と、大幅な増収増益を達成した。また、2021年の電池の販売実績は(容量換算で)133.41GWh(ギガワット時)と、前年の約2.8倍に増加した。
CATLは(風力発電所や太陽光発電所向けなどの)蓄電システムも手がけているが、稼ぎ頭はやはり車載電池だ。決算報告書によれば、2021年の車載電池事業の売上高は915億元(約1兆8212億円)と、総売上高の7割を占めている。
車載電池事業の最大顧客にはアメリカのEV(電気自動車)大手のテスラが浮上し、総売上高に占める販売額の比率は10%だった。CATLは多数のEVメーカーと取引しており、顧客別の販売比率も分散している。上位5社の顧客向けの販売額を合計しても、総売上高に占める比率は31.3%だった。
CATLは車載電池と蓄電システムのグローバル市場でシェア首位に立っている。決算報告書は調査会社のデータを引用し、2021年の車載用電池の世界シェアが32.6%、蓄電システムが同19.0%に達したとした。
リチウム急騰で粗利益率は低下
世界の自動車産業がEVシフトを急ぐなか、車載電池の需要は爆発的に拡大している。さらに蓄電システムの市場も急速に立ち上がりつつある。CATLの蓄電システム事業の売上高は、2021年に前年の7倍の136億元(約2707億円)に急増した。
とはいえ電池業界の競争は熾烈であり、最大手といえども安泰ではない。CATLは現在の優位を守り抜くため、生産能力の増強に積極投資を続けている。決算報告書によれば、同社の生産能力は2020年末時点の69.1GWhから、2021年末には170.4GWhへと1年間で約2.5倍に拡大。さらに、現在建設中の生産能力が140GWhに上る。
そんななか、CATLを悩ませているのが電池の原材料価格の急騰だ。非鉄金属の情報サービス会社、上海有色網のデータによれば、2021年初頭に1トン当たり5万5000元(約109万円)だった電池向け炭酸リチウムの市場価格は、2022年3月には1トン当たり50万元(約995万円)を超えて史上最高値をつけた。
その影響は、CATLの財務指標にすでに表れている。決算報告書によれば、2021年のCATLの車載用電池の粗利率は22%と前年比4.56ポイント低下。蓄電システムの粗利率も28.52%と同7.51ポイント低下した。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月22日
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