アメリカ政府が、中国を対象にした半導体技術の輸出規制をさらに強化しようとしていることが明らかになった。
「中国向けの技術輸出規制の対象を、14nm(ナノメートル)以下のプロセス技術を用いる(中国の)半導体メーカーに拡大するという内容の通知を受け取った」。アメリカの半導体製造装置大手、ラムリサーチの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるティム・アーチャー氏は7月27日、2022年4~6月期の決算説明会でそう発言した。
アーチャー氏によれば、新たな規制強化は主に中国の半導体受託製造サービス企業(ファウンドリー)に対して適用され、DRAMなど半導体メモリーのメーカーは対象外だ。また、新規制は(特定の中国企業だけではなく)14nm以下の技術を用いたすべての生産活動が対象だと解釈しているという(訳注:従来は特定の中国企業に限って10nm以下を規制していた)。
「わが社はアメリカ政府と協力し、この通知を完全に順守する準備を進めている。なお(今回発表した)7~9月期の業績予想には、通達の順守によって生じる可能性がある影響を反映済みだ」(アーチャー氏)
短期的影響はSMICに集中か
アメリカ政府の新たな規制強化に対し、中国の半導体業界からは強い懸念の声が漏れている。「新規制は、対象範囲を特定企業から中国の(外資を含む)すべての企業に広げたに等しい。中国で稼働しているあらゆる関連設備が影響を受けることになりかねない」。中国の市場調査会社、芯媒研究のリサーチ部長を務める王笑龍氏は、財新記者の取材に対してそのような見方を示し、次のように補足説明した。
「半導体チップの製造装置の多くは、異なる世代のプロセス技術を跨いで利用できる。例えば今、28nmのチップを作るために新品の製造装置を導入すれば、多くの場合は同じ装置で14nmのチップも製造可能だ。逆に言えば、14nm用の製造装置が規制対象になると、28nm用の装置の導入にまで影響が及びかねない」
アメリカの市場調査会社、ガートナーの半導体リサーチ部門の副部長を務める盛陵海氏の分析によれば、アメリカ政府の規制強化の影響は、短期的には中国のファウンドリー最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)に集中するという。
というのも現時点では、中国本土で14nmのチップを製造できるファウンドリーはSMICしかないからだ。一方で長期的には、新規制は「SMIC以外の中国メーカーによる14nmプロセスの導入計画を妨げる」と、盛氏は予想している。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は8月1日
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