中国市場に進出している日系企業は、現在の事業環境をどう見ているのだろうか。在中国の日系企業の団体である中国日本商会が7月29日に発表した「中国経済と日本企業2022年白書」によれば、対中投資の縮小や事業の移転・撤退を検討している日系企業はごく少数に限られている。
白書では、日本企業の中国法人を対象に日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施したアンケート調査(有効回答企業数685社)の結果を引用。それによれば、日系企業の2021年の業績は新型コロナウイルスが中国国内で大流行した2020年に比べて顕著に回復した。
同年の収支が黒字だった日系企業は全体の72.2%と、前年比8.7ポイント増加した。この数字は新型コロナの発生前の水準を上回っただけでなく、2007年以降の最高記録だ。
一方、好調な業績にもかかわらず、日系企業の多くは中国での事業拡大に慎重姿勢をとっている。白書によれば、今後1~2年の間に「事業規模を拡大する」と回答した企業は40.9%にとどまり、新型コロナ流行前の2019年の43.2%を下回った。
新型コロナ防疫対策の緩和を要望
とはいえ、中国事業の縮小や撤退を検討している企業は極めて少ない。白書によれば、「事業を第三国に移転、または撤退する」と回答した企業は0.4%と、2010年の調査開始以降で最も低い水準だった。
「日系企業の多くは、中国への投資を続けたいとの強い意志を持っている。日中両国の交流とビジネスが正常な軌道に沿って進むことを望む」。中国日本商会の副会長を務める御子神大介氏は、白書発表の記者会見でそう語り、日系企業からの具体的な要望を次のように挙げた。
「新型コロナ対策の防疫措置を緩和し、ビジネスマンの(日中間の)往来を円滑化してもらいたい。例えば、日本人が駐在員として中国に赴任する際や中国に出張する際の諸手続きの簡素化、(中国入国時の)隔離期間の短縮、隔離終了後に各地の都市が課している追加隔離措置の撤廃などを進めてほしい」
(財新記者:楊錦曦)
※原文の配信は7月29日
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