シンガポールの国営航空会社のシンガポール航空は7月28日、2022年4~6月期の決算を発表した。それによれば、同四半期の最終損益は3億7000万シンガポールドル(約362億円)の黒字に転換。直前の1~3月期には2億1000万シンガポールドル(約205億円)の赤字を計上しており、そこから目覚ましい業績改善を達成した。
同社の説明によれば、今回の黒字転換は経営環境の変化に業務を素早く対応させた成果だ。シンガポール政府は、4月1日から(新型コロナウイルスの流入を防ぐための隔離措置など)入国規制の大部分を解除した。これをきっかけに急増した航空旅行需要を、しっかりと取り込んだことが効を奏したという。
シンガポール航空および傘下の格安航空会社(LCC)のスクートによる4~6月期の輸送旅客数は延べ510万人と、直前の1~3月期の2.58倍、前年同期の14倍に増加。現在も厳しい入国制限を続ける東アジアの一部の国・地域への路線を除いて、ほぼ全路線の旅客数が顕著な回復を見せた。
2023年3月期の通期黒字を目指す
シンガポール政府が一連の防疫対策の緩和を発表したのは3月24日のこと。シンガポールの空の玄関口であるチャンギ空港の入国者数は、3月は延べ114万人にとどまっていたが、2カ月後の5月には2倍超の同247万人に急増した。
今後の航空需要の動向についてシンガポール航空は、旅客需要に関しては年末の休暇シーズンに向けて力強い回復が続くと予想している。貨物需要については、ロシアのウクライナ侵攻の影響により、ヨーロッパとアジアを結ぶ航空貨物路線の収益性が新型コロナ流行前の水準を上回る可能性があるという。
世界の航空業界はいま、インフレ圧力の高まり、原油相場の高止まり、グローバル経済の先行き不安などさまざまな難題に直面している。
そんななか、シンガポール航空は旅客需要の着実な回復を見込んでおり、2022年10~12月期にはコロナ前の76%まで戻ると予想。(会計年度末の)2023年3月期には通期での黒字復帰を目指している。
(財新 駐シンガポール記者:楊敏)
※原文の配信は7月29日
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