中国の3大国有航空会社の1つである中国東方航空は5月10日、親会社の中国東方航空集団を含む35組の出資者に対して第三者割当増資を実施し、最大150億元(約2918億円)を調達すると発表した。
この資金調達の目的は、38機の旅客機の購入および手元資金の充実だ。購入予定の機種は、中国初の幹線航空路向け国産旅客機C919が4機、同じく国産の地方航空路向け旅客機ARJ21が24機、欧州のエアバスA350が6機、アメリカのボーイングB787が4機となっている。
中国東方航空の説明によれば、今回の第三者割当増資により資本構造を強化することで、同社のリスク対応力と財務の安定性を高められる。と同時に、C919とARJ21の導入を通じて国産旅客機の育成という中国の国家戦略を下支えし、関連産業の発展をサポートする意義があるという。
C919の価格は1機約129億円
C919は、国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)が開発した座席数158~168席の旅客機だ。エアバスA320とボーイングB737をベンチマークにして設計され、2017年5月に初飛行に成功した。その後、2020年12月から中国民航局による「耐空証明」の審査プロセスに入っているが、現時点ではまだ認可を取得できていない。
中国東方航空には、商用飛行用のC919の初号機が納入される。同社は2021年3月、C919の最初のフリートとして5機の購入契約を中国商用飛機と結び、同型機の導入を決定した世界初の航空会社となった。
今回の第三者割当増資の目論見書では、中国東方航空のC919の購入価格が1機当たり9900万ドル(約129億円)であることが初めて開示された。エアバスとボーイングが2018年に公表した資料によると、標準仕様機のカタログ価格はA320neoが1億1060万ドル(約145億円)、B737MAXが1億1710万ドル(約153億円)であり、C919のほうが1割以上安い。
だが航空業界の関係者によれば、航空会社がまとまった機数の購入契約を結ぶ場合、航空機メーカーはディスカウントを提示するのが一般的であり、1機当たりの購入価格はカタログ価格より大幅に安くなる。C919の価格競争力を評価するのは、まだ時期尚早と言えそうだ。
(財新記者:黄栄)
※原文の配信は5月11日
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