中国の中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)は5月10日、フランス自動車大手ルノーの韓国子会社「ルノーコリア自動車」の第三者割当増資を13億7600万元(約268億円)で引き受けると発表した。
現時点のルノーコリアの持ち株比率は、ルノーが80.05%、韓国の大手財閥のサムスングループ19.9%、従業員持株会が0.05%だ。増資が完了すると、持ち株比率はルノーが52.82%、吉利汽車が34.02%、サムスングループが13.13%、従業員持株会が0.03%に変わり、吉利汽車が第2位株主に躍り出る。
ルノーコリアの前身は、サムスングループが1994年に設立したサムスン自動車だ。同社は1997年のアジア金融危機の影響で経営が行き詰まり、翌98年にルノーが株式の過半を買収して傘下に収めた。
中国からの技術・製品の輸出が主目的
同社は今もサムスン自動車時代のエンブレムを使い、ルノーや同じくルノー傘下の日産自動車が開発したクルマを生産・販売している。だが、2022年3月の販売台数はわずか1万400台にすぎない。国内販売とともに輸出も手がけており、輸出比率は6割に達する。
吉利汽車によれば、増資が完了した後、同社はルノーコリアの取締役会に2名の役員を派遣する。しかし経営全般にはタッチせず、主に中国からの技術および製品の輸出を担当するという。両社は2024年からルノーコリアの釜山工場でガソリン車とハイブリッド車を共同生産し、海外市場に投入する計画だ。
中国の自動車業界では、国有最大手の上海汽車集団が2004年に韓国の双竜自動車を買収したが、(労働組合との対立などで)経営を軌道に乗せられず2009年に撤退している。しかし吉利汽車によれば、今回の増資引き受けは経営権を取得するものではなく、技術および製品の輸出が主目的であるため、ルノーコリアの従業員は歓迎しているという。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月10日
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