EV(電気自動車)代表される中国製の「新エネルギー車」の輸出が好調だ。中国海関総署(税関)の貿易統計によれば、2022年上半期(1~6月)の輸出台数は36万2200台に達し、前年同期の2.13倍に増加した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
輸出先の市場別では、西ヨーロッパ向けが12万2700台と全体の3分の1を占めた。東南アジア向けの5万8400台がそれに続き、これら2つの市場で総輸出台数の半分を占めている。
国別の最大の輸出先はベルギーで、上半期の輸出台数は7万台を超えた。ただし、税関の統計データは輸出貨物の仕向地を基にまとめられている。業界関係者によれば、ベルギーにはヨーロッパ最大の自動車荷揚げ港があり、中国メーカーの大部分がそこを経由してヨーロッパ各国(の最終的な販売地)に車両を運んでいるという。
新エネルギー車の普及が始まる前は、中国メーカーの輸出先は発展途上国が中心であり、ヨーロッパは参入が難しい市場だった。しかし近年、ヨーロッパでは二酸化炭素(CO2)の排出規制が強化されると同時に、新エネルギー車の普及を促す補助金の支給が広がり、新エネルギー車の需要が急速に高まっている。中国メーカーはこのチャンスをつかみ、ヨーロッパ市場に足場を築こうと活発に動いている。
日本車の牙城にも積極参入
中国の国有自動車最大手の上海汽車集団は、2019年からヨーロッパ市場に新エネルギー車を投入。現在は上汽名爵(MG)と上汽大通(MAXUS)の2ブランドを中心に展開し、中国メーカーとしては最も広範囲の販売ネットワークを現地に構築した。
「2022年にヨーロッパ市場で6万~7万台を販売する目標を達成できそうだ」。SAIC国際業務部の幹部は最近、メディアの取材に対してそうコメントし、さらなる輸出拡大に自信を見せた。
東南アジア市場に目を移すと、国別ではタイが最大の輸出先になっており、2022年上半期の輸出台数は3万台を突破した。
タイは東南アジアで最大の自動車市場であり、エンジン車が主流の時代には日本メーカーの牙城として知られていた。しかし東南アジアでもエンジン車から電動車へのシフトが始まっており、上海汽車、長城汽車、比亜迪(BYD)などの中国メーカーに市場開拓のチャンスが訪れている。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は7月25日
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