アメリカ半導体大手のインテルは7月25日、台湾の半導体設計大手の聯発科技(メディアテック)との戦略提携に合意したと発表した。インテルの半導体受託製造(ファウンドリー)部門であるインテル・ファウンドリー・サービシズ(IFS)が、メディアテックが設計した複数の半導体チップの製造を請け負う。
ただし、インテルは受託製造するチップの種類や数量、それらに用いるプロセス技術などの詳細は明らかにしていない。「メディアテックのチップは年間20億台を超えるデバイスに組み込まれている。IFSのさらなる成長にとって最高のパートナーだ」。IFS事業部を率いるランディール・タークル氏は、戦略提携のプレスリリースのなかで強い期待感を表明した。
一方、メディアテックの副総経理(副社長に相当)を務める蔡能賢氏は、同じくプレスリリースのなかで次のように語った。
「わが社は製造委託先の多元化を一貫して進めてきた。インテルとはすでに5G(第5世代移動通信)データカード事業で提携しており、今後はIFSとのパートナーシップを通じて(チップの製造を委託する)製品分野を拡大していく」
TSMCの動向に関心集まる
メディアテックは自社工場を持たないファブレス半導体メーカーの世界的大手だ。スマートフォンなどの通信機器向けSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPU、通信モデム、画像処理回路などの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)に強みを持ち、市場調査会社の集邦諮詢のデータによれば、2022年1~3月期の半導体設計会社の売上高ランキングで世界第5位につけている。
インテルとメディアテックの提携発表をきっかけに業界関係者の関心を呼んでいるのが、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の動向だ。メディアテックはこれまで、主力製品のチップ製造をTSMCに委託してきたからである。
「メディアテックはわが社の長年の顧客であり、先端プロセス技術における緊密なパートナーだ。(インテルとの提携が)メディアテックとわが社の関係に影響を与えることはない」。TSMCは財新記者の取材に対してそう回答した。
インテルはもともと自社工場で自社設計の半導体だけを生産していたが、2021年3月に戦略を転換。IFS事業部を設立してファウンドリー事業に参入した。市場関係者によれば、今回の提携を通じてメディアテックからの大量受注が実現した場合、IFS事業部にとって発足以来最大の成果になるという。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は7月26日
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