中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は7月21日、アメリカ自動車大手のフォード・モーターにリン酸鉄系のリチウムイオン電池パッケージを供給すると発表した。フォードは北米市場で販売する2車種のEV(電気自動車)に、この電池パッケージを搭載する。
アメリカの自動車メーカーが、本国市場向けのEVにリン酸鉄系電池を大規模採用するのは、テスラに続いてフォードが2社目となる。
現在主流の車載電池は、正極材の違いにより「三元系」と「リン酸鉄系」の2種類がある。三元系の正極材はニッケル、コバルト、マンガンを主成分にしており、高いエネルギー密度を実現できる反面、高価なコバルトとニッケルを使用するため原材料コストがかさむのが難点だ。
フォードは目下、クルマのラインアップのEVシフトを急速に進めている。同社は全世界でのEV生産能力を2023年までに60万台に、2026年には200万台に引き上げる計画だ。その実現に向けて、すでに韓国の電池大手のLGエナジーソリューションとSKオンの2社を車載電池のグローバル・サプライヤーに選定している。
先行する日韓メーカーを追撃
そして今回、フォードは3社目のグローバル・サプライヤーとしてCATLを選んだ。当面は三元系電池を韓国の2社から、リン酸鉄系電池をCATLから調達するすみ分けになる。リン酸鉄系は(エネルギー密度では三元系に及ばないが)高価な金属材料への依存を減らせるため、三元系に比べて製造コストを10~15%低減できると、フォードは説明している。
CATLにとって、フォードからの受注獲得を通じたアメリカ市場への進出は、今後のグローバル戦略にとって非常に重要な一歩だ。アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年8月、2030年までにアメリカで販売する新車の半分をゼロエミッション車にするとの目標を定めた大統領令に署名した。これを機に、アメリカではEV市場の急拡大が期待される。
電池メーカーのアメリカ市場進出では、日本と韓国のメーカーが中国に一歩先んじている。
日本のパナソニックは早くからテスラに車載電池を供給し、アメリカ・ネバダ州に共同で「ギガファクトリー」を建設した。LGエナジーソリューションはフォードのほか、ゼネラル・モーターズ(GM)にも車載電池を供給している。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は7月22日
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