中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が、NFT(非代替性トークン)を応用したデジタルアートの取引アプリ「幻核(ホアンフー)」の事業見直しに着手したことがわかった。
事業規模の縮小や人員削減などを実施し、(中国当局の政策変更や処罰などの)政策リスクの回避を図る。7月20日、財新記者の取材に対して複数の関係者が明らかにした。
彼らの証言によれば、テンセントはすでに関係社員に対して幻核の見直しを通知済みだという。事業から撤退する場合、顧客がすでに購入したデジタル資産にどう対応するかが最優先の検討課題になりそうだ。
NFTは「Non-Fungible Token」の頭文字で、ブロックチェーン技術を活用したデジタル証明書の一種だ。希少価値のある芸術作品や物品などとひもづけることにより、それが偽造や複製が不可能な唯一無二の資産であることを証明できる。
大量のNFT作品が売れ残り
中国のNFT市場はまだ初歩的な段階にある。テンセントの幻核も、2021年8月のリリースから1年も経っていない。幻核で最初に売り出されたNFT作品は中国国内の有名なインタビュー番組「十三邀」のデジタル・コレクター版で、300本限定で販売された。
しかし最近、幻核のNFT作品の売れ行きは不調に陥っていた。6月21日に発売された書道作品「弘一法師書法格言屏数字臻品」は7月下旬時点で2万245点が、6月17日に発売された木版画シリーズ「十竹斎画譜」は同8206点が、まだ売れ残っている状況だ。
販売不振の理由について、あるテンセントの関係者は「中国ではNFT作品の二次取引を当局が許可しないからだ」と指摘する。二次取引とは、コレクターが作者から購入したNFT作品を(オークションなどを通じて)別のコレクターと売買することを指す。
「二次取引ができなければ、アメリカの『OpenSea(オープンシー)』のようなNFT取引所は育てられない。中国のNFTの取引空間は非常に限られている」。上述の関係者はそう肩を落とす。
(財新記者:関聡、劉冉)
※原文の配信は7月21日
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