アメリカのファストファッション大手のGAP(ギャップ)が、中国事業の売却を決めたことがわかった。同社はアメリカ最大のアパレル企業であり、GAPブランドのほかにもオールド・ネイビー、バナナ・リパブリックなど複数のブランドを傘下に持つ。
11月8日、中国の電子商取引(EC)大手の宝尊電子商務(バオズン)が、GAPのグレーター・チャイナ地区事業を4000万ドル(約59億円)で買収すると発表した。両社はすでに(中国の事業会社の)株式譲渡契約に署名済みで、事業引き継ぎの詳細を詰めている段階だ。取引完了は2023年前半を見込んでいる。
宝尊電子商務はGAPの中国事業を譲り受けると同時に、一連の業務提携契約を結ぶことで、中国におけるGAPブランド製品の独占的な製造・販売権を獲得する。さらに同社は、中国市場向けの製品をデザインする権限も得た。契約期間は10年間で、その後も5年毎に2回の延長が可能だ。
ZARA系やH&Mも店舗を削減
GAPは2010年に中国市場に参入し、最盛期には200を超える店舗を展開していた。だが、近年は苦戦を強いられており、2020年には傘下のオールド・ネイビーが中国市場から撤退。GAPブランドの店舗も閉店が相次いでいた。
2021年には、GAPが中国事業の売却を検討しているとの噂が市場に流れ始めた。同社のSNS公式アカウントの情報によれば、現時点の中国の店舗数は117店。そのうち約4割がアウトレット店という状況だ。
外資系ファストファッションブランドによる中国事業の縮小は、GAPだけに限らない。2021年にはZARA(ザラ)を擁するスペインのインディテックスが、傘下のベルシュカ、プル・アンド・ベア、ストラディバリウスの店舗を閉鎖した。
スウェーデンのH&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)も店舗の削減を加速しており、2022年6月には上海市内の中国第1号店を閉店した。
新型コロナウイルスの流行が始まって以降、中国の小売業界が受けた打撃は大きく、ブランドアパレルのような奢侈品は(生活必需品よりも)さらに深い痛手を負っている。2022年1~9月のデータを見ると、中国全土の消費財小売販売額が前年同期比0.7%増加したのに対し、衣料品小売販売額は同4%減少した。
(財新記者: 沈欣悦)
※原文の配信は11月8日
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