アメリカのアマゾン・ドット・コムは、電子書籍サービス「キンドル」の中国市場向けの提供を停止する。同社の中国法人が6月2日、専用の電子書籍端末の販売代理店向け出荷を即日打ち切ると発表した。1年後の2023年6月30日には、電子書籍の配信サイト「キンドルストア」も閉鎖する。
中国の既存ユーザーは、キンドルストアの閉鎖後は電子書籍の新規購入ができなくなるが、購入済みの電子書籍に関しては2024年6月30日までダウンロードが可能だ。また、端末上にすでにダウンロード済みの電子書籍には影響がないとしている。
「サービス停止の影響を受ける(キンドル担当の)社員を会社はきちんとサポートする。なお、中国以外の国でのサービス提供を見直す考えはない」。財新記者の取材に対してアマゾン中国法人はそうコメントし、中国でのサービス停止の理由については明確な回答を避けた。
半年前から撤退の噂が流れる
キンドルの専用端末は2007年に登場。中国市場では2013年に販売が始まり、当初は高い人気を博した。それから数回のモデルチェンジを経て、直近まで「キンドル・ペーパーホワイト」など3機種が販売されていた。
今回のサービス停止の背景について、専用端末の販売代理店の関係者は「(中国のユーザーは)正規版の電子書籍の購買意欲が低い」ことなどを挙げた。中国の電子書籍市場は競争が激しく、(無料コンテンツが豊富な)スマートフォン向けアプリが多数存在することが、キンドルへの逆風になっていた模様だ。
2022年初頭には専用端末の在庫切れが(ネット通販サイトなどで)目立つようになり、「中国市場からの撤退が近い」との噂が流れていた。だが当時、アマゾン中国法人は(噂の真偽について)「一部の機種が市場で品切れになった」とだけコメントしていた。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月2日
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