中国の広東省広州市の交通運輸局は2月9日、自動運転スタートアップの文遠知行(ウィーライド)の子会社にネット配車タクシーの営業許可証を交付した。自動運転技術の開発企業がネット配車サービスのライセンスを取得したのは、中国ではこれが初めてだ。
文遠知行によれば、サービスの具体的な開始時期については自動運転車両に関する行政の法規整備の進捗と(自動運転タクシーへの)需要動向を見て判断するという。
現時点では、中国政府は公道上での自動運転車両のテスト走行において乗客から料金を徴収することを許可していない。このため、文遠知行は既存のタクシー会社との提携による自動運転タクシーの実現を模索してきた。2019年8月、タクシー大手の広州市白雲出租汽車および政府系投資会社と合弁会社を設立。同年11月から小規模な営業サービスを開始した。
なお今回のライセンス取得に伴い、文遠知行が(提携先への技術提供だけでなく)自らアセットを持つ形でネット配車サービスに本格参入するのかについて、同社は「今のところ未定」としている。
タクシーの次は自動運転コミュニティーバス
もうひとつ注目されるのが、今回取得したライセンスの下で運営される自動運転タクシーが、セーフティードライバーを同乗させるかどうかだ。その有無は、自動運転技術の商用化を実現する重要なポイントとなる。
前述の自動運転タクシーの合弁会社は、まだモデル・プロジェクトの段階にある。営業運転区域は広州市黄埔区内の144.65平方キロメートルの範囲に限られ、車両数も40台に制限されている。さらに、安全運行を確保するためにセーフティードライバーが同乗している。
タクシー会社にとって、自動運転技術の最大の魅力はコスト削減にある。要するに、自動運転システムが人間のドライバーに取って代わることを期待しているのだ。
一方、自動運転技術の開発企業はもっと多くの可能性を模索している。文遠知行は自動運転タクシーの経験をベースに、その事業モデルを自動運転コミュニティーバス(訳注:住民の足として一定の地域内を運行する小型バス)に移植しようとしている。
1月27日、文遠知行は公共交通大手の広州市公交集団との戦略提携契約に調印。自動運転バスの新たなビジネスモデルを共同で構築し、2021年末までに自動運転バスの有料運行試験を始める計画だ。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は2月10日
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