TikTok運営「バイトダンス」上場計画否定の背景 市場では4~6月期に香港で上場の噂があった

✎ 1〜 ✎ 492 ✎ 493 ✎ 494 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
TikTokの運営会社の字節跳動科技には上場の噂が広まっていた。写真はイメージ(編集部撮影)

4月23日夜、ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を運営する中国の字節跳動科技(バイトダンス)は同社が運営するニュースアプリの今日頭条の公式アカウントに「最近、バイトダンス上場とのニュースが飛び交っているが、(この問題について)慎重に検討した結果、当社の上場条件はまだ不十分と判断したため、当面は上場を予定していない」という声明を発表し、新規株式公開(IPO)の計画を否定した。

市場関係者の間では、かなり前から「バイトダンスが2021年4~6月期に香港証券取引所に上場する」「上場時の時価総額は3000億ドル(約32兆4000億円)近くに上る」といった噂が広がっていた。

背景には、中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の前CFO(最高財務責任者)の周受資氏が3月24日、バイトダンスのCFOに就任することを認めたことがある。同氏はかつてシャオミの上場の過程で重要な役割を務めた人物であることから、市場関係者はバイトダンスがIPO関連の準備を進めるために彼を起用したと推測した。財新記者は周受資氏の就任とバイトダンス上場計画との関係を同社に質問したが、回答は得られなかった。

抖音は中国のネットユーザーの半数が毎日利用

バイトダンスは、生活関連サービス大手の美団点評、ネット配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)など中国ネット業界の2番手集団の中で唯一、BAT(中国のIT企業大手3社、バイドゥ、アリババ、テンセントの総称)からの投資を受け入れていない。創業者の張一鳴氏はこれまでたびたび「独自の発展」を強調し、バイトダンスのさまざまな事業を展開してきた。その範囲はゲーム、ショッピング、教育アプリケーション、リモートワーク向けサービス、SNS、医療など幅広い分野に及んでいる。

本記事は「財新」の提供記事です

バイトダンスが国内外で最も成功したプラットフォームは、ショート動画アプリの抖音(ドゥイン)とTikTokである(訳注:抖音はTikTok[ティックトック]の中国国内版)。2020年8月までに抖音の1日当たりアクティブユーザー数は6億人を超えた。これは中国全土のネット利用者の半数が毎日抖音を利用していることを意味する。さらにTikTokも、欧米における月間アクティブユーザー数が2億人を超えている。

複数のプラットフォームの成功には、バイトダンスが誇るユーザーの好みに基づいてコンテンツをレコメンドするアルゴリズムが関係している。今日頭条、抖音、TikTokはいずれもユーザー個々人の嗜好に合うコンテンツを高精度に配信することで、ユーザーの利用頻度を高めている。

しかし国内外では、バイトダンスのプラットフォームは個人情報保護の不備、ユーザーのプライバシー侵害、コンテンツの権利侵害などさまざまな疑いも呼んでいる

(財新記者:関聡)
※原文の配信は4月23日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事