円安を止める手立てとして、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「レパトリ減税」を提案する。 企業が海外で稼いだ外貨を国内に還流させるように促す減税策だ。

9月14日には1ドル=145円目前まで行き、政府による円買い介入の思惑まで広がった(写真:共同通信)
為替市場では政府・日銀による政策対応への思惑が広がりつつも、ドル円相場は基本的に年初来高値圏で推移している。改めて「どうすれば円安は止まるか」という点に世の問題意識が高まっているように感じられる。
現下の円安を「円売りではなくドル買い」ともっともらしく説明する向きが目立つが、円相場の下落は名目・実質双方のベースで他通貨に比べて突出しており、すべてをドル側の要因で説明しようとすることには、筆者は賛同できない。
図示すれば一目瞭然である。今年に入ってからの円相場の動きは「底割れ」といって差し支えない。ドル全面高には違いないが、ここまでの下落を強いられている通貨は他にない。
やはり見るべきは円の基礎的需給環境の変化である。足元では年間の貿易赤字が過去最大を記録する見通しで、季節調整済みの経常収支も赤字へ転化している以上、東京外国為替市場で「円を売りたい人のほうが多い」という需給環境が極まっているというシンプルな事実は見逃せない。
円の需給環境にアプローチする発想
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