なぜアメリカ人だけが「小切手」を使い続けるのか 国によって好まれる決済方法が変わる理由

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同様に、小切手で名前を書き間違えるのは難しいが、銀行口座振替で口座番号を間違えるのはとても簡単だ。

アメリカ国家安全保障会議の職員オリバー・ノースがこのミスを犯したのは、アーヤトッラー・ホメイニーを中心とするイラン政権およびノリエガ将軍率いるニカラグアの反政府勢力と、手の込んだ秘密取引を進めていたときのことであった。

ノースは、イラン政権に違法に武器を売って得た収益をスイスでの秘密決済を通じて、ニカラグアで当時のサンディニスタ政権と戦っていた反政府勢力に流していた。この複雑なプロセスの中で、ノースはブルネイのスルタンからの1000万ドルの「人道的」寄付を、クレディ・スイスの自分の(秘密)口座ではなく、スイスのビジネスマンの口座に誤送金してしまった。彼は、うっかりして口座番号の2つの桁を入れ替えてしまったのだ。

このイラン・コントラのスキャンダルが発覚すると、彼は、スルタンの数百万ドルの行方よりも大きな問題をかかえることになった。国家安全保障会議から追放された彼は、トークショーの司会者に転身し、ごく短い間ではあるが、全米ライフル協会の会長も務めた。

地味に進化している小切手

原理は同じかもしれないが、小切手は時代とともにたしかに進歩してきた。イギリスでは、1世紀半前には、発行銀行の10マイル以内でなければ小切手に日付を入れたり譲渡したりすることができなかった。

ほんの20年前には、アメリカの銀行は紙の詰まった袋を飛行機で国中に運んでいた。2001年の9・11テロですべての航空便が1週間にわたって運行を取りやめ、アメリカの小切手処理業務が完全に停止してしまうという事態を経験してはじめて、画像スキャンへと移行する機運が十分に高まったのであった。

2004年以降、アメリカでは、受取人の銀行が小切手をスキャンし、その画像を発行銀行に電子的に送信するようになった。その結果、アメリカで小切手はより使いやすくなり、処理コストも安くなった。

しかしこのことも、どうしてアメリカにおいてだけ小切手がいまだにここまで普及しているのか、という問いの答えにはなっていない。

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