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キャリア・教育 #教養としての決済

なぜアメリカ人だけが「小切手」を使い続けるのか 国によって好まれる決済方法が変わる理由

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ところが、その準備が整う頃には、スチーブンソン軌間はすでにひろく受け入れられていた。ブルネルは最終的には敗北を受け入れなければならず、グレート・ウエスタン鉄道は改造された(列車に興味のある方々のために申し上げれば、ブリストルへの最後の広軌列車は、1892年5月29日に最終運行をおこなった「フライング・ダッチマン」号であった。その後任のパディントン11時45分発の列車は、翌日に標準軌で出発したが、とくに名前をつけて区別されることもなかった)。

ネットワーク効果

ブルネルが考案した規格は、「ネットワーク効果」とよばれるものの犠牲になったのだった。この用語は、ネットワークの「価値」は利用者の数に依存するという知見に由来している。最初の電話やファックスを導入するコストは高かったかもしれないが、その価値は限られていた。電話やファックスを送る相手がいなかったからだ。電話やファックスの利用者数の増加に応じて、それらの価値も高まったのである。

同様に、フェイスブックの価値も、ますます多くの人が使うようになるにつれて高まっていった。この効果は、純粋なネットワークだけに限った話ではない。規格や法制度、言語などといった慣習にもあてはまる。それぞれの有用性は、それがどれだけひろく使われるかに左右されるのだ。

経済的な意味では、決済のしくみも、このようなネットワークと同じように作用する。どんな形態の決済も、それが各個人にとって有益であるかは、ほかにどれだけ多くの利用者がいるかにかかっているのだ。

カードの価値は、それがどこで使えるかによって決まる。小切手が(アメリカで)便利なのは、それが受け入れられ、それを管理する法的枠組みがあり、そして同じくらい重要なことに、それが文化の一部となっているからだ。

ネットワーク効果は、決済システムのいたるところに存在している。そのことについてだけで、博士論文を書くことができるほどだ。

(訳:大久保彩)

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