決済はキャッシュレスから一気にカードレス時代 「デジタルの利便性」の裏に潜むリスクとの対峙
キャッシュレス決済の推進
近年、“決済”に注目が集まっている。日本では伝統的に“現金”決済が強く、2000年あたりでは全決済に占める“現金”決済の割合は約7割程度、それに次ぐ“クレジットカード”決済が約2割程度であった。これは当時、金融関係業務では銀行が力を持っており、銀行がクレジットカードを拡販していたことが一因とも考えられる。その後、“電子マネー”(前払い式支払い手段)や“デビットカード”も少しずつ増加していった。
決済は、銀行法によって「固有業務」として銀行に限る、というのがそれまでの一般的な考え方だった。しかし、2009年に「資金決済法」が制定され、銀行以外も決済を行えるようになるなど規制緩和が進められた。
金融(Finance)と技術(Technology)の合成語として“フィンテック”(Fin-Tech)という言葉が作られ、まさに金融機関以外の企業が“決済”業界に参入してきた。ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)もフィンテックに含まれる。ビットコインは当初は廉価な“送金”(決済)のために作られた金融商品であった。
さらに、経済産業省がキャッシュレス化の調査・検討を行い、その方針「キャッシュレス・ビジョン」を2018年に発表、日本でキャッシュレス化が政策として推進されることとなった。
現金以外の「キャッシュレス決済(支払い)手段」は、モノの購入とお金の受渡を意識しており、①電子マネー(前払い)、②デビットカード(同時払い)、③クレジットカード(後払い)の3つがある。この“モノ”の購入の推進があることに、金融庁ではなく、経済産業省が進める意義があり、これらの決済手段を拡大させていくことになる。
金融業界とフィンテック業界では、“言葉”も違う。例えば、金融業界ではお金の支払いにより商取引が終了することを“決済”というが、フィンテック業界ではモノを買うときにお金を払うことを“決済”といい、いわゆる送金は“支払い”という。
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