決済はキャッシュレスから一気にカードレス時代 「デジタルの利便性」の裏に潜むリスクとの対峙

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そのキャッシュレス決済であるが、その媒体は、最近こそ「スマホ(スマートフォン)決済」が伸びてきているが、決済手段でスマホ決済というものはない。QRコード決済というものもない。それらはあくまでも前述の3つの決済手段の媒体なのである。そのため、ここでは、スマホ決済は“カード等”として3つの決済手段に内包することとする。

3つの決済手段は、その“カード等”を持っていることが、本人確認ともなり、(最近では暗証番号がなくてもある程度)対応が可能になる。紛失の場合には、カード会社への即時の連絡が義務づけられており、悪用されないようその機能を停止する。

その本人確認の基本はそのカード等を“保持”(保有)していることである。それが本人確認のベースとなる。もちろん、最近ではさまざまな取引のときに“写真付き”を求められるようにもなりつつあるが、まだそこまでは至っていない。

認証技術の発展が決済を変える

近年、AI(人工知能)の一環として「生体認証」の発達が著しい。顔認証のほかにも、指紋・虹彩・声などの生体情報を使用して、正確に本人確認を行うものだ。顔認証自体が高度化し、空港の入口では、顔認証によって問題のある人の入場を防止し、安全度を高めている。最近の顔認証は、瞳の間、骨格等、化粧や変装では効き目がないレベルである。

本人確認ができることによって、企業でも、保安上の対応をはじめとして、金融取引なども可能となってきている。そして、さらには本人確認によって、クレジットカードのような、クラウド的に保管されている“個人の信用”に基づく取引が可能になる。すなわち「カードレス」で取引が可能になる。

さらに、最近では、日本でも東京駅近辺では、顔認証によって広域でさまざまなビルの入館管理が行われようとしている。「カードレス社会」の到来が実際に始まりつつある。これはこれで非常に手間が省け、便利になることは間違いない。しかし、さまざまな物事はプラスとマイナスの面を併せ持つものである。

このような「カードレス社会」すなわち「デジタル化された社会」では、例えば顔認証の本人確認が一般化し、個人の行動がデータの“中央管理機関”に収集されるというリスクがある。それはその中央管理機関がわれわれにとってネガティブな行動をしなければよいが、もしも、そうではないときにはプライバシーの問題になる。いわゆる〝デジタル化”の問題である。

歴史的に見ても、戦前のドイツなどは不法な手法によって、個人情報を収集し、社会的に個人の弾圧に使用した。そのような過去によって、欧州では個人情報の管理には非常に敏感な対応をしている。日本も基本的には欧州に近い対応をしている。

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