グーグルが新しい銀行サービスPlexを開始
しばらく前から、「シリコンバレーの大手IT企業が銀行業に進出する」と言われてきた。
最近、そのように見える動きが活発化している。
2020年11月、グーグルがPlexと呼ぶ新しい金融サービスを発表した。アメリカでは、2021年から正式導入された。
普通・当座預金の口座開設、デビットカードの発行、グーグルPay決済、個人間の送金、利用データ分析に基づくサービスなどが、1つのアプリで利用できる。
家計管理のパーソナル・ファイナンシャル・マネジメント(PFM)機能が付属しており、スマートフォンで撮影した領収書やGmailに送られたレシートを自動的に読み込み、カテゴリー別に家計簿にまとめてくれる。さらに、10万超の飲食店でアプリ経由の注文ができる。3万超のガソリンスタンドで給油が可能だ。毎月の口座手数料などはかからない。
日本では、スマートフォン決済の「pring」をグーグルが買収することが話題になっている。いずれ日本でも同種のサービスを提供するのだろう。
以上のことを表面的に見ると、確かに、IT巨大企業が、銀行業務に参入している。
では、これは、銀行業にとっての「黒船来航」なのだろうか?
実は、そうではない。
なぜなら、これはIT企業が独自で提供するサービスではなく、金融機関との共同作業だからだ。
グーグルPlexの場合、シティグループなど11の銀行が提携している。そして、銀行業務を担当する。
この仕組みの核になっているが、「オープンバンキングを知らない人に伝えたい基本」(2021年7月11日)で説明した銀行APIだ。これを通じてPlexは銀行口座にアクセスし、そのデータを利用する。
これは、組み込み型金融(または「埋め込み型金融」、エンベデッドファイナンス)と呼ばれるものだ。
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