このような形態の金融サービスが現れると、既存の銀行には多大な影響を与えるはずだ。
とくに問題なのは、ATMを使った振り替えだ。
口座振り替えの手数料がかなり高い中で、料金がゼロ、あるいは非常に低い送金・決済が可能になる。しかも、スマートフォンの操作だけでできるので、銀行窓口やATMの所在地まで出向く必要もない。だから、ATMの利用者は激減するだろう。
コンビニ銀行には大きな影響
既存の銀行にとっても大きな影響があるが、とくに問題となるのは、ATMの送金手数料を収入源としてきた銀行だ。セブン銀行やローソン銀行、イオン銀行などがそれにあたる。
セブン銀行は、2001年に設立された。そして、従来の日本の銀行の基本的なビジネスモデルである「預貸金利鞘モデル」とは異なるビジネスモデルを確立した。店舗にあるATMの手数料を基本的な収入源としたのである。
このビジネスモデルは成功し、高い収益率を上げた。そして、低金利により伝統的な銀行のビジネスモデルであった「預貸金利鞘モデル」が、金利の低下で破綻しつつある中で、銀行の新しいビジネスモデルとして成長が期待されてきた。
そして、実際に、これらの銀行は成長した。経常利益を見ると、前述の銀行はすべて黒字である。セブン銀行は地銀トップ5に入る水準であり、ほかも地銀中位行に匹敵するレベルの利益水準を確保している。
ところが、最近になってこのビジネスモデルの環境が大きく変化している。
数年前から、手数料収入の伸びが鈍化しているのだ。
そして今後は、上述のような巨大な競争相手に直面することになる。グーグルPlexのようなサービスが広く使われるようになると、ATMを使う人は極めて少なくなってしまうかもしれない。ATM収入に依存する銀行が生き残るのは至難の業となりかねない。
グーグルPlexの影響はあまりに大きい。
アメリカのバイデン大統領は、7月9日、大企業による寡占の弊害を正すための大統領令に署名した。その中には、「大手IT企業による消費者金融参入の影響の調査」も含まれている。アメリカでは今後、Plexのようなサービスは規制されるのかもしれない。
しかしそれは同時に、消費者が利用料の安い金融サービスを利用できなくなることを意味する。
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