仮にグーグルが日本で銀行振り込みのサービスを提供するとして、その料金がいくらになるかは、もちろん、まだわからない。
ただ、それをゼロにすることは不可能ではない。
なぜなら、マネーのデータを用いて収益をあげることができるからだ。
グーグルはPlexを発表した際の声明で「第三者へのデータ販売、ターゲティング広告のためにユーザーの取引履歴を共有したりすることはありません」と表明している。
しかし、「ビッグデータとして利用しない」とは言っていない。
マネーのデータを用いると、信用スコアリングを行うことができる。それを用いて融資事業を行えば、膨大な収入をあげることができる。
これは、中国の電子マネー、アリペイがすでに確立しているビジネスモデルだ。
そこからの莫大な収入があるので、顧客に手数料を求めなくても済む。仮にゼロにしなくても、従来の手数料よりは大幅に下げることが可能だろう。
個人情報保護との関係はどうか。匿名あるいは仮名情報とすれば、ビッグデータとしての利用は可能と思われる。
グーグルはデータに貪欲
これまでグーグルは、貪欲にデータを求めてきた。
グーグル傘下のサイドウォーク・ラボが2017年に発表した、トロントのウォーターフロント地区再開発プロジェクトが、その典型例だ。
あらゆるデータをサイドウォークが集め、そのデータを活用して、都市を運用することを計画した。個人情報は、もちろん厳格に保護される。公共の場で収集したデータは、匿名化して、個人を特定できないようにする。第三者へのデータの販売は絶対に行わない。
もっとも、このプロジェクトは、2020年5月に断念を余儀なくされた。「カナダはグーグルの実験マウスではない」とか、「監視資本主義の植民地化実験用」だなどと、データの利用について不安に思う人が、増えてきたからだ。
しかし、サードパーティークッキーの廃止など、これまでのビッグデータビジネスが行き詰まりをみせているいま、新しいビッグデータ源の開発はグーグルにとって喫緊の課題であるに違いない。そのグーグルが、金融サービスに参入しながらそのデータを活用しないことなど、およそ考えられないことだ。
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