アマゾンとアリババの株価が映す米中政策の評価 巨大IT企業への富の集中を懸念する点は同じだが

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アマゾンとアリババ。中国とアメリカを代表するeコマースの大手の株価動向を見ると、極めて対照的な動きをしています(写真:David Paul Morris、Qilai Shen/Bloomberg)
アメリカのIT企業が史上空前の利益を上げている一方で、中国IT企業は低迷している。こうなるのは、中国政府がIT企業に対する締め付けを強化しているからだ。
米中政府とも、巨大IT企業への富の集中が限度を超えたという認識をもっている。しかし、アメリカでは、政策の実行までに時間がかかる。それに対して、一党独裁国家の中国では、最高指導者が望む政策を直ちに実行できる。
長期的成長のためにどちらがよいのか、いま大きな歴史的実験が始まっている。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第49回。

米巨大IT企業が史上最高の利益

アメリカの大手IT企業が空前の利益を上げている。

2021年7月末に発表された4~6月期(第2四半期)の決算によると、アップルは、最終利益が対前年同期比93%増の217億4400万ドル。第2四半期の決算としては過去最高益だった。アルファベット(Googleの持ち株会社)は、最終利益が185億2500万ドルと2.6倍以上に伸び、四半期としての最高を更新した。フェイスブックは、利益が前年同期から倍増の103億9000万ドル。マイクロソフトは最終的な利益が46%増えて164億5800万ドルだった。アマゾンの純利益は、前年同期の52億ドルから78億ドルに増加した。

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これまでもGAFAMと呼ばれる上記の企業群は華々しい成長を続けてきたが、上のような状況を見ていると、あまりの利益の集中に言葉を失ってしまう。

中国巨大IT企業も、事業の内容としてはアメリカの巨大IT企業とほとんど同じことを行っている。

それにもかかわらず、最近の利益や株価の状況を見ると、大きな差がある。

例えば、アリババとアマゾンを比較してみよう。これらは、それぞれ中国とアメリカを代表するeコマースの大手だ。ところが、両社の最近の株価の動向を見ると、極めて対照的な動きをしている。

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