コロナとの戦いで見えた中国の本質的な問題 IT強権国家のルールが世界を支配する日

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封鎖解除をライトアップで祝う武漢の街(写真:Featurechina/アフロ)
中国が新型コロナウイルスへの対策として、武漢という1000万人都市を即座に封鎖したことは、世界を驚かせた。その強権国家ぶりは、実は、2018年ごろからの米中貿易戦争の背景ともつながっている。ITで国民を監視するという発想は、自由主義社会の基本原理と相容れない。そうしたことが米中摩擦を激化させたのだ。われわれはいま、未来社会の原理を選択する岐路に立っている。
新刊『中国が世界を攪乱する――AI・コロナ・デジタル人民元』の著者・野口悠紀雄氏が、いまグローバルに起きていることの本質を読み解く。

中国発コロナで世界が未曽有の危機に

中国がさまざまな意味において、世界を大きく撹乱しています。

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2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルスが、その後瞬く間に世界各国に広がりました。

各国は、外出規制や外出禁止措置など、いままでなかった対応を取らざるをえなくなり、経済活動が急激に縮小しました。

現在のところ、ワクチンも治療薬も開発されていないため、この状態がいつまで続くのか、どのように収束するのか、まったく見通しがつかない状態です。

世界は、第二次世界大戦以降初めての、大きな危機に直面しています。

コロナウイルスの感染拡大とその後の経緯に関連して、中国という国家の特異性が浮かび上がりました。

感染の初期の段階で、中国当局は、疫病の発生という都合の悪い情報を抑え込もうとしました。勇気ある医師の告発も、デマであるとして処分の対象とされ、葬られてしまったのです。

このようにして、中国は初期段階での感染封じ込めに失敗しました。

こうなったのは、中国の中央政府・共産党の力が強すぎて、武漢市という地方政府が自らの判断で情報を発信したり対処したりすることができなかったからです。

事態を真剣に把握し、早期に移動の禁止等の立場を取っていれば、感染はこれほど拡大しなかったと考えざるをえません。これは、中国の強すぎる中央集権的権力体制の負の側面を示しています。

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