「金価格」コロナ禍の乱高下は何を意味するのか

株価は持ち直したが楽観的な期待には疑問

マネーと金。どちらが安全資産なのか(写真:Aslan Alphan/iStock)
昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第15回。

新型コロナウイルスの感染拡大が、株や債券、金、原油、仮想通貨などの資産価格に極めて大きな影響を与えています。株価は2月末から大暴落。4月には持ち直しましたが、感染が収まらない状況での価格上昇には違和感があります。

一方で、金価格が史上最高値を記録しています。

株価が大暴落、金価格も一時下落

株価はアメリカにおける新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、大暴落しました。感染拡大防止のために人々の移動が規制され、経済活動がほぼ停止することになったためです。

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ニューヨークダウ平均は、2月中旬には2万9500ドル台だったのですが、2月20日から急落。3月23日には1万8591ドルまで下落しました。率にして、30%の下落です。

アメリカ以外でも、多くの株式市場で、株価は底を打つまでに30%以上下落しました。

日経平均株価も急落しました。2月上旬には2万3800円台で推移していましたが、その後は急落し、3月19日の1万6552円にまで30.6%下落しました。

現下の状況で株式のようなリスク資産の価値が急落するのは、ごく当然のことであり、よく理解できる現象です。

ところが、この時に、注目すべき現象が起こりました。

それは金価格も一時下落したことです。

金は、「有事の安全資産」といわれ、戦争などの事態において価格が上がる、最も安全な価値保存手段と考えられています。

したがって、コロナウイルスによって経済活動が停滞してしまうような異常事態において、価値保存の手段としての役割が高まるということは十分考えられます。

ところが実際には、金価格は3月9日の1オンス1674ドルから3月18日の1477ドルへと下落したのです。

どうしてこのようなことが起きたのでしょうか? それは、後で述べる「マネー」に対する需要増大と関わっていると思われます。

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