ほんの数カ月前には、予想だにしていなかった展開━━。
世界的なコロナショックで、株価が底割れとなる中、迎えた2020年3月末。多くの企業が決算期末を迎え、この時点の株価が保有株の優劣を決する。時価が簿価を大きく下回れば、評価損にまみれ、最終利益を大きく損なうこともある。
ファンドの成績にも左右するため、機関投資家からの見た目をよくするための”ドレッシング買い”(お化粧買い)も入るタイミングではあったものの、今年はそれも限定的だったようだ。結果的に日経平均株価は1万8917円と、低水準で終わってしまった。1年前の2019年3月末は、2万1205円だったことから、2000円以上もの下落である。
そもそも前期は、秋の消費増税に加え、年度を通じ米中貿易摩擦の激化を受け、低水準を続けてきた。米中摩擦はやや和らぎ、消費増税を通過したことで海外投資家が再び買い越し基調に戻ったことで、今年1月に2万4115円の高値を付けたのを考えれば、いかにコロナショックに伴う直近の下落が激烈だったかがわかる。
ソフトバンクグループは株価下落歯止めに必死
もちろんそれだけ巨額の時価総額を消失した企業が多い。今回は時価総額ランキングのトップ100を掲載した。
3.9兆円と最も時価総額を失った筆頭格が6位のソフトバンクグループだ。前年は時価総額11兆円を上回り、2位の座にあった。中国のアリババ集団やアメリカのエヌビディアなど、海外の先進ベンチャーに投資し、その目利きが評価され、5月にアメリカで投資先のウーバーの上場を控えた時期だった。通信子会社のソフトバンクを上場させ、実態は投資会社となっていただけに、アメリカのシェアオフィス大手「ウィーワーク」を運営するウィーカンパニーの不調に苦しみ、この2月末からの世界的な株価暴落も直撃する格好となった。
財務体質が悪化する中、モノ言う株主であるアメリカのエリオット・マネジメントの要求に従った自社株買いも、S&Pやムーディーズなど格付け機関からの格下げで裏目に出てしまった。その結果、時価総額は今回、7.9兆円まで落ちている。足元は、資産圧縮とウィーカンパニーの株式公開買付中止など、矢継ぎ早の対策を出し、株価下落の歯止めに懸命だ。
順位の下げ方で最もきついのが、78位に急落した日産自動車である。前年30位で3.8兆円あった時価総額も今回は1.5兆円と、半減以下にしぼんでしまった。カルロス・ゴーン元会長逮捕以来、経営混乱が続き、後任の西川広人社長も電撃辞任し、業績は悪化の一途をたどった。株価を支えてきた高配当もなくなり、中国湖北省にある工場も早々に止まるなど、コロナショックが直撃、株価は底割れ状態だ。足元でも欧州の工場休止が続いており、世界的な自動車市場低迷を背景に、当面は厳しい状況が続く。
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