トヨタが新たな逆風が吹く中で示した自信

新型肺炎の影響が読み切れない日系大手3社

トヨタのルロワ副社長は決算会見で「これまでの取り組みが結実しはじめた」と語った(記者撮影)

米中貿易摩擦に新型肺炎の拡大――。中国に複数の拠点を持つ自動車メーカーにとって厳しい環境が続く中、堅調さが目立ったのがトヨタ自動車だった。2月6日にトヨタが発表した第3四半期決算(2019年4~12月)は増収増益で着地。2020年3月期通期の業績予想は、売上高は29兆5000億円(前期比2.4%減)で据え置いたが、営業利益は2兆5000億円(同1.3%増)と従来の予想から1000億円引き上げた。

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北米市場の中核であるアメリカについては、全体需要が1.3%減に対しトヨタの販売台数は1.8%減。だが、インセンティブ(販売奨励金)の抑制が効き、課題だった収益性が改善している。世界最大の中国市場は縮小が続き、2019年の総販売台数は8.2%減の2576万台だった。地場系や欧米系、韓国系の販売が苦戦している中、トヨタは2019年に9%増の162万台を売り、年初に掲げた販売目標160万台を達成。初めて日本の販売台数を上回った。

中国で日産を抜いて日系メーカー首位に

「カローラ」や「レビン」、「カムリ」といった主力車の新型車販売が拡大に寄与し、2019年にトヨタは日産自動車を抑えて中国市場で日系メーカー首位になった。そして、今年初めの段階で2020年の中国での販売目標を前年比8.6%増の176万台としていた。

だが、2月6日の決算会見でトヨタのディディエ・ルロワ副社長は「新型肺炎という新しい問題が出てきて、そのインパクトは本当にわからない状況だ。(もともと)中国のパフォーマンスは改善を続けると予測していたが、こうなると何が起こるかわからない」と説明した。

トヨタは中国に4つの工場を擁しており、春節休暇明けの操業再開を2月17日以降に延期。感染拡大の影響や供給網の状況を見極めるという。今後の状況によっては、176万台という当初目標の見直しもありうる。

不安要素が増えたものの、ルロワ副社長は「2020年の世界市場は2019年よりも縮小すると見ている。それでもわれわれの販売台数は2019年よりも増えるとみている」と自信ものぞかせた。そう語れるのは、特定の市場に依存することなく、グローバルでバランスの取れた事業を展開できているとの自負があるからだろう。

一方のホンダは、2月7日に発表した2019年4~12月期の決算は売上高が3%減、営業利益は6.5%減の減収減益だった。2020年3月期通期は売上高が15兆1500億円(前期比4.6%減)、営業利益は7300億円(同0.5%増)を見込む。営業利益は今回400億円上方修正した。想定為替レートの円安方向への見直しや経費削減が利益を550億円押し上げることによるものだ。新型肺炎の影響についてはトヨタと同様、「業績への影算は算定困難」(倉石誠司副社長)とする。

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