「新型フィット」の登場で振り返る3代目の価値 モデル末期でも対前年比82%を達成する実力
2019年の第46回東京モーターショーの会場で初公開されたホンダの次期「フィット」が、2月14日に発売される。それを前に現行モデルとなる3代目フィットがどのようなクルマであったか、改めてその価値を振り返ってみたい。
日本自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別順位の2019年における実績を振り返ると、現行フィットは東京モーターショーで次期フィットが公開される直前の9月まで、同社のコンパクトミニバンである「フリード」とともに、ホンダ車の販売を牽引していた。
昨今の軽自動車を含めたハイトワゴン人気によって、フリードが全体的にやや上回る傾向はあるものの、フィットは4月、5月、6月、8月に対前年比で100%超えの販売台数を達成している。
12月になると31位となって販売台数も1750台まで大きく落としたが、1年をまとめた年間販売実績は、7万4410台であり、対前年比82%、ベスト50で12位という成績であった。
2013年に発売されてから6年という歳月を締めくくるうえで、対前年比82%の数字は、現行フィットの魅力がモデル末期に至ってもなお大きかったことを示しているのではないだろうか。
「センタータンク」方式で価値を創造した初代
初代フィットは、ホンダの開発を担う本田技術研究所の社長を昨年まで務めた松本宜之氏が開発責任者となり、2001年に誕生した。
それまで、ホンダの小型2ボックスカー(トランク部分が出っ張っていないハッチバック車)であった「ロゴ」から大転換し、前席下に燃料タンクを配置する「センタータンク」方式のプラットフォームを新開発するなど、外観の造形を含め斬新な魅力を生み出して登場した。
センタータンクプラットフォームの骨格構造により、4ドアセダンのように荷室部分が後ろへ出っ張らない2ボックスの車体形状でありながら、限られる荷室容積を、床下へ増やす手法で積載性を高めていたのが特長だ。
また室内では、後席の座面を跳ね上げるチップアップ機構を取り入れることにより、客室後席の床に背の高い荷物を載せられるようにしていた。
これは例えば、フランスの都市部のように互いの前後バンパーをぶつけるようにして路上駐車する状況でも、後ろのドアを開ければ大きな荷物を出し入れできる新たな利便性を生み、好評を呼んだ。
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