「新型フィット」の登場で振り返る3代目の価値 モデル末期でも対前年比82%を達成する実力
3代目フィットは、2代目のキープコンセプトをさらに前進させ、クルマとしての上質さをいっそう高め、ハイブリッド方式にホンダらしい独創技術を持ち込んで競合他車と差別化を図ることで、一時はトヨタ「アクア」の燃費性能を超える環境性能を実現した。
だが、7代目社長となる伊東孝紳氏の任期と重なり、企業規模の拡大路線を歩むなかで、商品としての完成度を発売当初から達成しきれなかった無念さがある。
ホンダの研究所では、商品化へ向けた技術開発の過程で、役員などによる評価会がたびたび実施され、厳しく内容が検討されたうえで次へ進む許可が得られる伝統がある。だが、本社の「早く、安く、低炭素でお届けする」との号令に、抗しきれなかったのかもしれない。
原点回帰の思想で4代目はどうなる?
たびたびのリコールは看過できないものの、リコールにより熟成を高めたモデル終盤は、ホンダ車の中で選ばれるべき適正価格と良品の調和がとれた商品に仕上がったと言えるだろう。モデル末期に及んで、なお対前年比82%にもなる販売台数が、それを明らかにしている。
市民のためのクルマとして誕生した「シビック」が、欧米を主体とした商品性を求めた結果、上級車種の位置づけといえる大きさになった今日、フィットこそがかつてのシビックに代わるホンダの顔となるクルマといえるだろう。
そして3代目フィットは、キープコンセプトによる進化から脱皮する教訓をもたらしたのではないか。市民のためのという原点回帰の思想と、現代における本質的価値を目指した新型フィットが、4代目としていよいよ登場するのである。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら