「フィット」が「アクア」に地団駄踏む根本事情 ホンダのヒット車、依然販売は堅調ながらも
ホンダのコンパクトカー「フィット」が、最大のライバルであるトヨタ自動車「アクア」に水をあけられている。3代目に当たる現行フィットは2013年秋、アクアは2011年末にデビューといずれもロングセラーモデル。今年上半期(1~6月)にアクアが約6万6000台と月販1万台以上を保っているのに対し、フィットは同4万8000台弱で月販8000台にやや届かない水準だ。
同じ期間、日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた、軽自動車を除く乗用車ブランド通称名別ランキングではアクア2位に対して、フィット5位。2014~2017年の上半期を振り返ってみても、フィットがアクアをしのいだ年はない。ただ、発売当初は拮抗している場面もあった。
フィットは「N-BOX」を除けばホンダのベストセラーカーであり、絶対数は多い。今も間違いなくヒット車種だ。ただ、2001年に初代が鮮烈なデビューを果たし、翌年はそれまで国内登録車販売で33年連続首位だったトヨタ「カローラ」を、王座から引きずり下ろした実績を持つ。そのフィットがアクアにかなわない状況が続いているのは、ホンダ関係者にとっても面白くない話だろう。
そんなフィットの地団駄を歴史とともに振り返りつつ考察したい。
室内空間の多用途性を小型車で実現したフィット
フィットは、現・本田技術研究所の社長であり、ホンダ本社の専務取締役である松本宜之氏が初代を開発した。当時松本氏は、LPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)として開発の責任を負う立場にあり、前身の「ロゴ」と呼ばれた小型車の売れ行きが思わしくないため、どのような小型車を開発すべきか欧州などを巡りながら構想したと語っている。
そして欧州では、生活を支えるクルマとして実用性や合理性が重視されていることを知ると、センタータンクレイアウトという独創の車体構造を構想し、他に類を見ない室内空間の多用途性をミニバンではなく小型車で実現したのであった。
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