ホンダがN-BOXの好調を単純に喜べない事情 販売現場で懸念される「ヒット車傾注」の弊害
ホンダの乗用車(4輪車)部門でドル箱中のドル箱、「N-BOX」がこの9月から新型となる2代目へと生まれ変わった。
発売5年で累計販売台数100万台を突破
N-BOXは全高1790~1815mmという背の高さが特徴のスーパーハイトワゴンと呼ばれるタイプの軽乗用車だ。ダイハツ工業「タント」、スズキ「スペーシア」が主なライバル車種となる。初代N-BOXは発売から4年以上が経った2015年、2016年にも2年連続で軽乗用車販売1位を獲得。発売5年ちょうど(60カ月)で累計販売台数100万台を突破し、2001年6月に発売したコンパクトカー「フィット」の同6年6カ月を上回り、ホンダ乗用車で最速のヒット記録をつくった。
2代目N-BOXは、2011年末に登場した初代で好評を得た広い室内空間や角張った独創的なデザインを継承しつつ、プラットフォーム(車台)やパワートレーンを新開発。「助手席スーパースライドシート」と名付けられた新機能の採用のほか、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制、路外逸脱抑制、車線維持、高速道路などでの先行車追尾などの機能を複合的に組み合わせた、安全運転支援システム「ホンダセンシング」をホンダの軽乗用車で初めて標準装備。商品性を充実しながらも、初代から約80kgの軽量化も果たした。
初代の基本を踏襲しつつ、さらに商品力を高めた2代目は月間販売目標1万5000台に対し、事前受注台数は約2万5000台に達したという。初代と同等、あるいはそれ以上の販売が期待されている。
一方、ホンダにとってはこの好調な出足を単純に喜べない事情もある。それは引き合いの強い2代目N-BOXの販売に現場の負担が集中して、それ以外の普通乗用車、特にフィットや背高ミニバンの「フリード」「ステップワゴン」といった車種の販売が手薄になりかねないことだ。
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