トヨタ「マークX」の消滅がささやかれる理由 一斉を風靡したハイソカーはどこへ行く
今の40~50代以上のクルマ好きなら、1980年代の「ハイソカーブーム」を覚えている人も少なくないだろう。それまで「国民車」と呼ばれた「カローラ」クラスのセダンに代わって、全長が4.7m程度で排気量2000~3000cc級のエンジンを搭載し、内外装をちょっと高級に仕立てた「アッパーミドル」と呼ぶ上位クラスのセダンが爆発的に売れた現象だ。
中でも、トヨタ自動車の「マークⅡ」に「チェイサー」と「クレスタ」を加えた3兄弟の売れ行きはすさまじかった。特に白いボディカラーの人気が高く、今では見かけなくなった4ドアハードトップがもてはやされた時代でもあった。当時このクラスにおける駆動方式は、エンジンを車体前部に積み後輪を駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)が主流だった。
それなりの価格帯のクルマだったにもかかわらず売れに売れて、月間販売台数が3車種合計で3万台以上に達したときもあったほど。これは今のトヨタの最量販車である「プリウス」や「アクア」をしのげるほどの水準だ。タクシーや教習車としてもよく使われていた。
「マークX」が現行モデルで廃止か
そんなハイソカーブームから30年余り。マークⅡのコンセプトを受け継いだ「マークX」が現行モデルで廃止されるという話が、この春に中日新聞をはじめ複数のメディアから報じられた。真偽のほどは定かではない。もし事実なら「コロナ」「カリーナ」などトヨタの一時代を築いたモデルがまた消えることになる。
今夏にフルモデルチェンジ(全面改良)が予定されている「カムリ」は、従来のカローラ店に加えて、マークXの専売店であるトヨペット店で取り扱われることがすでに発表されている。これが意味することは、いずれはマークXを廃止する予定があり、これまでマークⅡやマークXを愛用してきた層の需要に対しては、今後はカムリで応えていきたいという意図があると見てよいだろう。
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