「フィット」が「アクア」に地団駄踏む根本事情 ホンダのヒット車、依然販売は堅調ながらも

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センタータンクレイアウトとは、通常、後席下などに搭載されている燃料タンクを運転席と助手席の下に搭載する。それにより後席座面をはね上げる機構を採り入れ、後席の床に背の高い荷物を立てたまま置くことができるなど、誰もが驚嘆する斬新な使い勝手を備えた実用性を小型車で実現した。

結果、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するだけでなく、前述したように2002年には、国内年間販売台数でカローラを押しのけ首位へ躍り出た。

2001年の初代は結局6年販売され、2世代目となるのは2007年である。車体はやや大きくなったが、全体的な見栄えは初代を踏襲し、目新しさは少ない。2010年には、ハイブリッド車(HV)が追加された。また2012年には、法人等へ向け限定的な電気自動車(EV)も造られたが、一般消費者が買うことはできなかった。

フィットの独壇場にアクアが現れた

その間、2011年にHV専用車種としてアクアが誕生する。欧州では、「ヴィッツ」(欧州名は「ヤリス」)にHVを車種追加する手法であったが、日本市場には「プリウス」と同じようにHV専用車としてのアクアがあえて投入されたのである。

2011年にHV専用車種として誕生したアクア(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

HV専用の小型車というアクアの位置づけは、消費者に強い印象を与えた。また、小型車でもちっぽけに見えないよう、車体色を数多くそろえ、なおかつ日本ではあまり売れないといわれてきた明るいパステル調の車体色もそこにはあった。プリウスでは値段が高く、3ナンバーの車体が大きいと感じてきた消費者も、アクアなら5ナンバーのHV専用であり、車体色を選ぶ楽しみもあると歓迎された。そして町を走るクルマの色が急に華やかになった。

2013年に、フィットは3世代目となる。それまでフィットの独壇場であったところにアクアが現れ、満を持しての3世代目であった。だが、立て続けにリコールを出す不始末が起きた。

それは、ホンダ史上初の品質問題による役員の報酬返上にまで発展した。クルマうんぬん以前に、ホンダの技術や体質が問われる事態となったのである。ちょうど、2009~2015年に伊東孝紳社長がホンダを率いていた時期と重なる。

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