新型肺炎の影響が直撃し、訪日外国人など多くの人が集まる百貨店の客足が遠のいている。大手百貨店が3月2日に発表した2月の既存店売上高は、軒並み2ケタの落ち込みとなった。
百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)傘下の三越伊勢丹は、2月の国内既存店売上高(グループ会社含む)が前年同月比13・6%減だった。新型肺炎の感染拡大による不安が広がり、入店客数の減少や消費マインドへのマイナス影響が出た。
三越伊勢丹HDのIR担当者は「外国人の来店数が大幅に減少し、化粧品を中心に販売が落ち込んだ」と肩を落とす。
シニアの消費マインドに影響も
外国人客だけでなく、日本人客も外出を控え始めた。観光地として全国各地からの来店客が多い店はその分、売り上げの落ち込みが激しい。三越銀座店(東京・中央区)の2月の売上高は同36.2%減と、全店の中でもっとも下落幅が大きかった。
同じく銀座に本店を構える老舗百貨店の松屋も、2月の既存店売上高は同31.6%減と、大きく落ち込んだ。「訪日中国人はもちろん、国内のお客さん、特にシニア層の消費マインドに影響が出ている」(同社広報担当者)。
J.フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店も、2月の既存店売上高(グループ会社含む)は同21・4%減。「百貨店業界で、対前年比2ケタのマイナスは珍しい。リーマンショック以来の落ち込みになった」(J.フロントの広報担当者)という。
観光地としてにぎわっていたエリアの店舗が大きく落ち込んでおり、大丸心斎橋店(大阪市中央区)が同45.5%減、大丸札幌店(札幌市中央区)が同28.3%の減少となった。
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