リーマン再来、百貨店売り上げ「2ケタ減」の衝撃 遠のく外国人客、業績のさらなる下方修正も

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高島屋も2月の既存店売上高(グループ会社含む)が同11.7%減。阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー リテイリングも同14.3%減だった。

新型肺炎の拡大を受け、営業時間を短縮する百貨店も続出している。高島屋は2月28日から、国内10店舗の開店や閉店の時間を見直した。そごう・西武も3月3日から全国15店舗の営業時間を短縮。大丸松坂屋百貨店は3月に合計4日間、大丸東京店(東京都千代田区)や大丸京都店(京都市下京区)など全16店を原則臨時休業する。

業績はさらに下振れも?

時短営業は売上高のさらなる減少を招く。三越伊勢丹HDやエイチ・ツー・オー リテイリング、松屋などの大手百貨店は、1月に今2020年3月期(松屋は2020年2月期)の業績計画を大幅に下方修正した。三越伊勢丹HDは当初、売上高1兆1900億円(2018年度1兆1968億円)、営業利益300億円(同292億円)とみていたが、今回1兆1550億円、200億円へと営業増益予想から減益予想に変えた。

百貨店各社の業績はさらなる下方修正もありそうだ(2月26日、記者撮影)

松屋も当初は売上高940億円(2019年2月期実績925億円)、営業利益21億円(同18億円)とみていたが、それぞれ910億円、10億円へと減益予想に修正した。当初、売上高9392億円(2019年3月期9268億円)、営業利益180億円(同204億円)とみていたエイチ・ツー・オー リテイリングは今回9280億円、160億円へと営業減益幅を拡大した。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

ところが、ある百貨店幹部は「現時点では、新型肺炎の影響を織り込み切れていないのが正直なところ」と明かす。新型肺炎の展開次第では、百貨店の2020年3月期の業績はさらに下振れする可能性がありそうだ。

「新型肺炎の影響は、今年の夏ごろまで続くかもしれない」と別の小売業界経営幹部は語る。先行きの見えない状況に不安を抱きながら、早期収束することを多くの関係者は祈っているが、混乱は当面続きそうだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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