テレビ局の番組制作"凍結"で見えない活路 ゴールデンタイムを再放送でしのぐ異例の事態

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フジテレビは4月9日午後10時からの新ドラマ放送を延期し、2018年に放送した「グッド・ドクター」を再放送。ゴールデンタイムでの再放送は異例だ(編集部撮影)

「新型コロナウイルスの影響は極めて大きいと覚悟している。2020年4~6月(の業績)は少なくともリーマンショック並みに落ち込む前提で覚悟している」――。

東京都知事が「感染爆発の重大局面」と述べた翌日、3月26日の定例会見で、テレビ東京ホールディングスの小孫茂社長はそう語った。2008年のリーマンショックで景気が急速に悪化したとき、各社の放送事業が大きく落ち込んだ。2010年3月期に民放大手で減収額が最も大きかったTBSは329億円(前期比約14%減)、次いで日本テレビが212億円(同約15%減)となった。こうした事態の再来が早くも現実味を帯びている。

テレビで流れるコマーシャルには、個別の番組に紐づく「タイム広告」と、視聴率に紐づいた「スポット広告」がある。例えば、スポーツイベントが中止になったことでスポンサーの広告出稿がなくなり、タイム広告に影響が出ているテレビ局もある。また、「春休みなどはスポット広告がダメージを受けている」(日本テレビ 広報担当者)状況で、新型コロナの感染拡大が収束しない限り、タイム、スポットいずれの広告出稿でも逆風が強まりそうだ。

新型コロナ影響は広告出稿のほかにも

各局にとってもう一つの悩みの種が、番組制作への影響だ。4月2日にTBSとテレビ東京が、大規模ロケや収録の一部中止を発表したのを皮切りに、民放各局が続々と「一部番組の収録延期」を発表した。

あるテレビ局関係者は「(4月4日に判明した)森三中の黒沢かずこさんの感染判明が大きかった。それまではなんとなく『大丈夫かな』という雰囲気だったが、人気タレントとなると出演番組も接触者も多い。もちろん接触したスタッフは番組制作の現場には出せない」と語る。

テレビ局が恐れる最悪の事態は、こうしたケースが今後相次ぐことだろう。「感染者と接触した人が増えて自宅待機となれば、今以上に番組制作が滞るおそれがある」(前出のテレビ局関係者)からだ。

実際、感染者が相次ぐ恐れが現実のものになっている。4月12日、テレビ朝日は看板番組「報道ステーション」のメインキャスター(月曜~木曜日)である富川悠太氏(43歳)の新型コロナウイルス感染を発表。接触したスタッフらは自宅待機などの措置が取られている。テレビ朝日の広報部は「(4月13日)月曜からの放送に変更はない」としている。

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