テレビのコロナ対応に見た何とも悩ましい問題 番組制作に大きな制約、新たな手法探る必要も

✎ 1〜 ✎ 141 ✎ 142 ✎ 143 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
テレビ局にも大きな試練が訪れている(写真:Fast&Slow/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「緊急事態宣言」が発令された。

すでに“国難”と言ってもよい今回の事態は、感染者数など「コロナ」の情報を伝えるテレビにとっても大きな試練となっている。

ニュースやワイドショーなど「生放送番組」のスタッフは、まずは自分たちが感染しないように、また感染に無自覚のまま取材先などに移してしまわないように、十分に留意しながら取材活動をしなくてはいけない。

「不要不急の外出は避けて」「手洗いは忘れずに」と呼びかける側であるテレビのスタッフが自ら“感染源”となることは許されない状況だ。

生放送でも「距離を置いて」出演

生放送の出演者はスタジオ内でも「距離を置いて」出演するようになった。

ガランとして見えるスタジオにポツリポツリと立つMCの姿はもはや定着しただろう。コメンテーターも控え室や自宅からの「リモート出演」が増えてきたが、この先いっそう拍車がかかるだろう。

一方で、番組を制作するディレクターたちがいる副調整室(サブコン)は、閉ざされた狭い空間にディレクター、タイムキーパー、スイッチャー、ミキサーなどが生放送の時間はずっと座った状態で仕事をしている。

サブコンは放送機器を冷却するためもともと空調は強めにしてあり、また各番組でスタッフは極力お互いの距離を取るように気を付けているものの、おのずと限界はある。この生放送スタッフを「リモートワーク」に転化することは現状では難しいだろう。

また番組内で流すVTRの「編集作業」も密閉された編集室で、ディレクターと編集マン、テロップなどの担当者などが数時間こもって作業をしている。

ナレーションを録るスタジオも、元々“音が漏れないように”防音のために分厚い扉で閉ざされた空間になっている。そこにディレクターやミキサー、ナレーターが入って作業をする。

まさに「密閉」「密集」「密接」の「3密」がそろった場所である。

現在はなるべく編集室のドアは開け放ったままにしているのだが、大きな“音”が出るときは周囲の部屋に気を遣ってドアを閉じる場面も多い。

次ページ編集所クラスターのリスク
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事