テレビのコロナ対応に見た何とも悩ましい問題 番組制作に大きな制約、新たな手法探る必要も

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複数のテレビ局の番組が同時にVTRを制作している編集所では、いつ「クラスター」が発生してもおかしくない。いや実はすでに発生しているかもしれない。

ただでさえ朝の生報道番組のスタッフは「徹夜」である。睡眠不足で免疫力が低下する中での編集作業は大きなリスクを伴っている。

それならスタジオ展開だけで番組を作ればよいという意見もあるが、小池百合子・東京都知事の会見や困惑する飲食店などの映像はやはり視聴者に届けなくてはいけない。

過剰にあおる番組や、やや偏った伝え方をする番組も一部に見受けられるが、感染者数や政府の発表など「大前提となる一次情報」はしっかりと伝える必要がある。

生放送以外の番組は事実上「機能停止」

一方でバラエティー番組やドラマに関しては、各局ともすでに対応策を発表している。まず4月2日にTBSとテレビ東京がロケ・収録の中断を発表した。また日本テレビは6日、ドラマ・バラエティー番組などのスタジオ収録・ロケを中止すると発表、フジテレビも小規模番組以外のロケやスタジオ収録を「当面の間控える」、連続ドラマの撮影は休止と発表した。

NHKも朝ドラ・大河ドラマの撮影を休止するなど、生放送以外の番組は事実上「機能停止」となっている。

ドラマもバラエティー番組も、通常は放送の2~3週間前までには収録を終えていることが多いので、しばらくは「ストック」で放送を埋めることができる。また「総集編」などの形で“繋ぐ”こともできるだろう。

ただ「緊急事態宣言」の間は新たなロケ・収録をすることはできない。

仮に5月6日までで発令が解かれた場合でも、その時点で(例えば5月7日に)収録した番組は早くてもその1週間後、5月15日くらいに放送するのが最短だろう。

となると約40日間は「ストック」でしのがなければならない。

そして「総集編」を作るということは、その分「編集所」にいるスタッフが増えるということでもある。総集編の数だけスタッフの「3密」頻度は高まってしまう。

映画の放送や過去のドラマの再放送、スポーツ名場面などでまかなう局も出てくるだろう。

ゴールデンウィークにはディズニー映画やジブリ映画が一気に登場するのではないだろうか。

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