武漢にある福祉施設とヘルスケアセンターで高齢者と医療従事者が新型コロナウイルスに感染した事件が発生してまもなく、また新たな防疫(感染症の予防・阻止)の死角が露わになった。それは刑務所(監獄)だ。2月20日、湖北省、山東省、浙江省の刑務所での新型コロナウイルスへの感染が明らかとなり、当日の感染者数の大幅な増加を招いた。
現在のところ、これら3つの省の刑務所で新型コロナウイルスによる肺炎症状だと確定された患者が514人報告されており、山東省の司法庁長など11人がその職を解かれた。世間で流行っている「刑務所がいちばん安全」というジョークも吹っ飛んだ。ウイルスの前では、少しの油断も許されないのだ。
2月20日には感染者数が大きく変動した。(武漢のある)湖北省の新たな感染者数は631人(刑務所での感染者数220人を含む)で、全省での新たな感染者数は前日と比べて80.8%増加した。また、山東省と浙江省の刑務所においても感染者(山東省任城刑務所で200人、浙江省十里豊刑務所で27人)が増えたことで、湖北省以外の地域での新たな感染者数は大幅に増加し、258人となった。前日比では473.3%の増加で、感染状況は局地的に悪化した。
刑務所の管理監督の不徹底が感染を招く
刑務所で感染が爆発的に拡大したのはなぜなのか? 司法部監獄管理局の責任者である何平は記者会見で、浙江省、山東省、湖北省の刑務所で少なくとも9人の刑務官に加え被告人ら505人が新型コロナウイルスにすでに感染していることを明らかにした。その他に感染の疑いがある20人の服役者の症例もあり、感染者と感染の疑いがある人々はともに外部から感染したものであると述べた。
財新記者が情報を整理したところ、山東省任城刑務所と浙江省十里豊刑務所において最初に感染者であると診断されたのは、ともに服役者ではなかったことを発見した。前者において最初に感染者と診断されたのは当直だった刑務官で、後者において最初に見つかったのは武漢から戻ってきた刑務官だった。
注目に値するのは、山東省任城刑務所の例だ。その数日前から当該刑務所で感染が発生しているという噂が所内で広くささやかれていたが、それがついに「確かだと証明された」のだ。これは刑務所での管理監督において、感染拡大の防止に対する怠慢と麻痺、責任感の欠如、不誠実な業務態度、防疫措置の不徹底などの問題を暴露したものであり、そこから深い教訓を学ばなければならない。
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