鴻海(ホンハイ)グループの深圳工場で品質検査員を務める姚同(ヤオトン)が春節(旧正月)前に湖南省株洲の実家に帰ったとき、本来10日間の休暇が44日間に及ぶ長い休暇になるとは思いもしなかった。
(台湾の)ホンハイは世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業だ。生産能力がピーク時の従業員は100万人を超え、広東省深圳、河南省鄭州などに拠点を持つ。春節前夜、新型コロナウイルスの襲来により、中国に無数にある他の工場と同じく、ホンハイも操業を停止した。
世界のスマホの70%が中国で生産
中国は全世界のスマートフォンの70%を生産している。ホンハイの鄭州工場だけでも、世界中のiPhoneの少なくとも4割を供給する。サプライチェーンの停滞は連鎖的な反応を引き起こした。
(アメリカの)アップルは2月中旬、「サプライヤーの工場の操業再開プロセスが予想よりも遅い」ため、世界のスマホ供給に影響し、さらに中国エリアでの需要も影響を受けるため、1~3月期の売り上げ目標を達成できないだろうと発表した。
ホンハイは操業を停止したままではいられない。中国の工場もすべて止まってしまうわけにはいかない。工場は経済と社会生活をつなぐ原動力であるだけでなく、感染を防ぐ設備や物資の供給者でもある。基本的な装置から医療用酸素や救急車まで、機械を長時間停止させることの後遺症は計り知れない。
しかし、操業再開そのものが一連の複雑な出来事である。製造工程の改変、宿舎の改造、感染予防の保障、従業員の職場復帰、オーダーの延期など、多くのプロセスが錯綜しており、1つの企業だけで決めることはできない。
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